2003 Fiscal Year Annual Research Report
電磁振動力を利用した金属組織微細化法の直接観察と溶融加工プロセスへの応用
Project/Area Number |
02J20087
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
水谷 予志生 独立行政法人産業技術総合研究所, 基礎素材研究部門・軽量金属材料凝固プロセス研究グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電磁プロセッシング / 電磁振動 / 組織微細化法 / 凝固プロセス / 溶融加工プロセス |
Research Abstract |
平成14年度には、主に純銅(無酸素銅とタフピッチ銅)について電磁振動による組織微細化実験を行ったが、実際に微細化された組織は観察できなかった。これは試料作成条件が悪かったのではなく、組織観察法(研磨及びエッチング)に問題があったためであることが判明し、微細化された組織が観察された。電磁振動を印加するための交流電流を60Aで一定とし、60〜5000Hzで振動周波数を変化させたところ、無酸素銅・タフピッチ銅共に200Hz付近で最も微細化した。それ以上の周波数では、周波数が高くなるにつれ結晶粒が大きくなっており、微細化の効果が小さくなることが分かった。しかし、銅は容易に再結晶することから、再結晶後の組織をみている可能性ある。観察された組織は明確な結晶粒界の内部に、結晶粒界のようなやや不鮮明な跡がついている。EBSPによる方位マッピングでは、明確な結晶粒界の内部は同一の結晶から構成されていることが判明した。従って、不鮮明な跡が凝固時の結晶粒界であり、この組織が再結晶することによって実験後観察された結晶粒界が形成されたものと考えられる。今回観察した組織に周波数依存性があったことから、凝固時の結晶の大きさと再結晶後の大きさとが比例している可能性もあるが、電磁振動による凝固組織微細化の影響を調べるためには、完全に凝固した後、再結晶が起こる前に急冷することが必要であると思われる。 純銅では旅冷中に組織が再結晶する問題があるため、純Al(4N)、純Mg(3N)でも実験を行った。現在、純Mg(3N)に関しては、無振動の場合と比べて微細化することができたが、純Al(4N)に関しては微細化された組織はまだ確認できていない。温度条件、純度等を変更し、電磁振動により微細化される条件を調査する予定である。
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