2003 Fiscal Year Annual Research Report
超低損失パワー半導体デバイス実用化のための回路・実装技術の開発に関する研究
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02J20094
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高尾 和人 独立行政法人産業技術総合研究所, パワーエレクトロニクス研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | シリコンカーバイド半導体 / SiC-SBD / 高速スイッチング特性 / スイッチング損失 / 高周波スイッチング |
Research Abstract |
インバータなどの電力変換器の小型化のためにはパワーデバイスの高周波スイッチング動作が必要であり,高速スイッチング特性が重要となる。本研究では市販のシリコンカーバイドショットキーバリアダイオード(SiC-SBD)の,di/dt=300A/μs〜2500A/μsの範囲での高速ターン・オフ・スイッチング特性を評価し,理論的に解析した。また,同レベル定格の超高速タイプSi-PNDと比較した。 本研究により,SiC-SBDのターン・オフ特性はSiC-SBDの接合容量の充電現象で説明ができ,従来のSi-PNDのようなダイオードのターン・オフ損失は発生しないことが明らかとなった。しかし,高速スイッチングでは,SiC-SBDの接合容量と回路の寄生インダクタンスによる電圧・電流波形の振動が発生しており,電磁ノイズ源やスイッチングデバイスの誤動作の原因のとなり得るので,振動を抑制する必要がある。 SiC-SBDを使用することによりIGBTのターン・オン損失はSi-PNDを使用した場合の45%以下になり,損失の低減効果はdi/dtが高いほど大きいことが明らかとなった。これより,高di/dt動作はSi-IGBTのスイッチング損失低減に有効であることが示された。 本研究結果から,SiC-SBD使用は,電力変換器の小型化に必要不可欠であると結論される。今後は,電圧・電流波形の振動の原因であるパワーデバイスの寄生容量と回路の寄生インダクタンスとの関係について調査し,これらの寄生パラメータの相互関係の最適化という視点から,高速スイッチング動作に必要とされる回路技術について検討し,パワーデバイスの高周波スイッチング化のための基礎技術を開発する。 本研究成果はH15年度電気学会産業応用部門大会で発表しており,現在,電気学会論文誌へ投稿中である。
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