2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨誘導性を有する高強度多孔質セラミック人工骨の開発
Project/Area Number |
02J20120
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
十河 友 独立行政法人産業技術総合研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 完全連通孔多孔体 / 骨形成促進 / ビタミンK2 / リン酸カルシウムセラミック |
Research Abstract |
1.完全連通孔多孔質リン酸カルシウムセラミック(多孔体)の作成 16mm×16mm×5mmサイズの多孔体作成の時間短縮に関して検討した。1回ごとの充填量を増量すること、またこれまで手作業で取り外していた金型の細かいパーツをブロック化することによって、多孔体作成に要する時間を3時間から1時間半で行えるようになるなど、大量生産のための基礎的な条件が決定された。 2.多孔体へ導入したゼラチンゲルへのビタミンK_2担持 ゼラチンゲル/多孔体複合体に骨形成促進に効果があるビタミンK_2の担持条件を決定した。ビタミンK_2を含む薬剤は、既に骨粗鬆症治療剤として販売されており、種々の成長因子よりも安価であるため、現状においては臨床応用向きであると判断した。ビタミンK_2源としては、グラケー【○!R】カプセル15mg(エーザイ)を使用した。 カプセル内容物をアルコール水溶液に分散し、これをゼラチンゲルに接触させる方法でビタミンK_2を担持させた。ゼラチンゲルの覆水の度合いから40%エタノール水溶液が分散媒として適していることが分かった。ビタミンK_2溶液をゼラチンゲル/多孔体複合体に接触させると、ゼラチンゲル/多孔体はビタミンK_2の色(黄色)に着色した。孔内のハイドロゲルも着色していることから、ビタミンK_2はハイドロゲルに担持しており、ゲルの分解によって徐放されるものと考えられる。 3.多種の多孔体材料の検討 リン酸三カルシウム(TCP)を用いても16mm×16mm×3mmサイズで気孔率59.6%の多孔体を作成できた。この結果は、骨形成促進効果が期待できる亜鉛含有TCPの多孔体を作成可能であることを示している。 また、生体微量元素であるフッ化物イオン含有炭酸アパタイトの作成も行った。この材料をも多孔体に適用すれば、炭酸アパタイトの溶解に伴うフッ化物イオンの定速徐放が可能となると考えられる。
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