2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20127
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
浜名 洋 独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 嗅覚レセプタ / 機能発現 |
Research Abstract |
本年度は、嗅覚レセプタ(OR)の機能発現の実現に向けていくつかの試みを行った。 β2-アドレナリンレセプター(β2-AR)およびドーパミンレセプター(DR)においてはGα15とHEK293に共発現させてCaイメージングによりリガンドに対する応答を得ることに成功している。そこで、ORの機能発現においてボトルネックとなっている細胞膜への移行を改善するため、β2-ARおよびDRとORとのキメラレセプターを作成した。まず、β2-ARのTM3からTM6をORのものに置換したキメラレセプターを作成した(ORの匂い分子結合サイトは膜貫通ドメインのTM3からTM6の領域であると考えられている)。また、DRではカルボキシル末端に特徴的なアミノ酸配列が存在し、その配列を認識してレセプタの膜への輸送を調節しているタンパク質がある事が示されていることから、ORのC末端領域をDRのC末端領域へと置換したキメラレセプタを作成した。そして、これら2種類のキメラレセプタをGα15と共にHEK293細胞へ遺伝子導入し、Caイメージングにより匂い分子への応答を調べたが応答の検出には至らなかった。 次に、最近報告されたORの機能発現の改善に成功した論文の方法も検討した。1つはオートファジーの阻害剤3-MAを用いる方法で、3-MAがORの分解を抑え、細胞膜へのORの発現量が増大することが報告されている。もう1つは、ある特定のORをβ2-ARと共発現させると、そのORの細胞膜への発現が劇的に増加することを報告している。これら2つの論文に基づいて実験を行ったがORの応答は得られなかった。現在は嗅覚レセプタの膜輸送に関与する分子シャペロンとして最近発見されたRTPファミリーの発現ベクターを作成し、我々のクローニングしたORの機能解析に有効であるのか検証するための実験を進めている。
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