2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト染色体の安定化機構を応用した長期持続的遺伝子発現システムの開発
Project/Area Number |
02J20130
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡部 潤 独立行政法人産業技術総合研究所, 産業技術総合研究所ジーンファンクション研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 染色体 / 安定性 / テロメア / TRF1 / 不死化 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
1.動物細胞で遺伝情報の安定性を高感度に測定する系の開発 ヒト細胞で染色体を含めた遺伝情報の安定性を高感度に測定する系を確立した。最初に、昨年度以前に作製した薬剤のポジティブ選択(抗生物質耐性遺伝子)とネガティブ選択(薬剤感受性遺伝子(自殺遺伝子))の2つの遺伝子マーカーをEBV(Epstein-Barr virus)の複製系に組み込んだ環状DNAを、この複製系が機能するために必須なEBNA1タンパクを発現させたヒト細胞に遺伝子導入した。次に目的のDNAが導入された細胞を選択するためにポジティブ選択を行い、その後、薬剤耐性細胞を薬剤非存在下で一定時間それぞれ培養した。最後に、それらの細胞を播種し、ネガティブ選択を行った。以上の過程において、1週間後に出現したコロニーは薬剤非存在下の期間で目的のDNAが失われた細胞と考え、DNA脱落率を測定した。その結果、以前ポジティブ選択のみで測定した報告(7-2%loss/generation)と一致しておりした。次に、ポジティブネガティブ選択遺伝子マーカーをヒト染色体に組み込ませ、染色体の安定性を測定した。その結果、染色体の脱落率は0.001-0.1%と著しく低く、非常に安定な染色体も短期間で簡単に測定できた。以上のことから、ポジティブネガティブ選択遺伝子マーカーを利用した遺伝情報の安定性を測定する実験法は非常に有用であることを証明し、現在国際雑誌に投稿中である。 2.ヒトミニ染色体のテロメア領域の構造解析 染色体の安定化に携わるテロメアの形成と維持のメカニズムを明らかにするために、ミニマーカー染色体に着目し、サザンブロッティングmappingとシーケンシング法によりこの染色体のテロメア領域の構造解析を行った。また、蛍光抗体法によりテロメアタンパク質の局在も検討した。その結果、ミニマーカー染色体のテロメア長は非常に短く、それに比例してテロメアタンパク質の局在も検出限界以下であった。現在、構造の詳細を解析中である。
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Research Products
(1 results)