2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経筋変性におけるERストレスによる細胞死誘導とERタンパク複合体形成機構の解析
Project/Area Number |
02J20132
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
藤田 恵理子 国立精神・神経センター, 疾病研究第五部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小胞体 / ストレス / カスパーゼ / 活性化 |
Research Abstract |
小胞体(ER)において、折りたたみ不全、糖鎖不全、変性などの異常タンパクが蓄積することによってERストレスセンサーを活性化させ、細胞死を誘発する。このようなERストレスによる細胞死はアルツハイマー型痴呆、ポリグルタミン蓄積病、ALS、プリオン病などの神経変性疾患の原因の一つと考えられている。カスパーゼ12はプログラム細胞死実行に深く関与するカスパーゼファミリーの一つであり、小胞体に局在し小胞体ストレス特異的に活性化することで注目されている。これまで報告者らは、伸長ポリグルタミン凝集がカスパーゼ12の活性化を伴うERストレスを誘導すること、また三好遠位型ジストロフィーおよびLGMD2Bの責任遺伝子であるジスフェリンの変異型を過剰発現することによりERストレス細胞死が誘導されることを明らかにしてきた。本年度は引き続き、神経、筋変性疾患にみられる変異タンパクと複合体形成に関与し、カスパーゼ12の活性化を引き起こすERストレスセンサー、シグナル伝達系の解析を行った。 ERストレス試薬として知られているツニカマイシンを細胞に添加し、カスパーゼ12の活性化と細胞死を指標としたERストレスシグナル阻害化合物の検索により得られた化合物は、他のERストレス試薬に対して抑制効果が見られるものの、その他の試薬には顕著な抑制効果が得られなかったことから、ERストレスに特異的に作用していることが明らかとなった。また、ジスフェリンはプロテアソーム阻害剤により小胞体で凝集し、細胞死を引き起こすのに対し、この化合物の添加によりジスフェリンの凝集、ERストレス細胞死を抑制した。このことから、化合物は、ERストレスの発生原因である変異、不要蛋白をERから除去することにより、結果としてERストレス細胞死を抑制するものと考えられる。また、細胞内でこの化合物と結合するER内タンパクについて検討したところ、ER排出機構の構成成分Secに結合し、小胞体分解系での変異、不要蛋白の分解を促進することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)