2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経筋変性におけるERストレスによる細胞死誘導とERタンパク複合体形成機構の解析
Project/Area Number |
02J20132
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
藤田 恵理子 国立精神・神経センター, 疾病研究第五部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小胞体(ER) / ストレス / カスパーゼ / 活性化 |
Research Abstract |
折り畳み不全、糖鎖不全、変性蛋白の小胞体(ER)での蓄積はERストレスセンサーを活性化することにより細胞死を誘発する。ERストレスと神経変性疾患との関係については、ERストレスセンサーとアルツハイマー病の原因の一つと考えられるプレセニンの変異との関係が報告されている。本研究は、神経、筋変性疾患にみられる変異蛋白と複合体形成するER蛋白の解析・およびこれらの蛋白複合体をリンクしてカスパーゼ12の活性化をもたらすストレスセンサー、シグナル伝達系の解析を目的として行った。 報告者らはこれまで遺伝性神経変性疾患であるハンチントン病に見られるポリグルタミン凝集がERストレス機構を誘導し、ERストレスによりカスパーゼ12、8、9を活性化することを明らかにしてきた。また、三好遠位型ジストロフィーの責任遺伝子でカルシウム結合性の領域であるC2ドメインを6箇所持つタイプIIの膜蛋白であるジスフェリンは細胞内のER/ゴルジ体に局在しており、変異ジスフェリンを過剰発現させることによりBip、Chopの増大のみならず、カスパーゼ8、9、12の活性化をもたらすことからERストレスが関わっていることを明らかにしてきた。 ERストレスのおけるER蛋白複合体形成とカスパーゼ活性化についての分子機構を明らかにするため、カスパーゼ12の活性化と細胞死を指標としてERストレスによるカスパーゼ活性化を抑制する化合物の探索により得られた化合物について解析を行なったところ、その中の一つにおいてERストレス特異的に作用することを明らかにした。 ERに局在するジスフェリンはラクタシスチンなどのプロテアソームの阻害剤により、小胞体で凝集し細胞死が引き起こされることを見い出した。得られた化合物はプロテアソームの阻害剤によるジスフェリン凝集を抑制し、ERストレス細胞死を抑制したことから、ER蛋白の細胞質への排出を促進する活性を有していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Urase K, Kouroku Y, Fujita E, Momoi T.: "Region of caspase-3 activation and programmed cell death in the early development of the mouse forebrain."Brain Res Dev Brain Res.. 146. 241-248 (2003)
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[Publications] Fujita E, Soyama A, Momoi T.: "RA175,which is the mouse ortholog of TSLC1, a tumor suppressor gene in human lung cancer, is a cell adhesion molecule."Exp Cell Res.. 287. 57-66 (2003)
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[Publications] Jimbo A, Fujita E, Kouroku Y, Ohnishi J, Inohara N, Kuida K, Sakamaki K, Yonehara S, Momoi T.: "ER stress induces caspase-8 activation, stimulating cytochrome c release and caspase-9 activation."Exp Cell Res.. 283. 156-166 (2003)
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[Publications] Momoi T, Fujita E, Urase K.: "Strain-specific caspase-3-dependent programmed cell death in the early developing mouse forebrain."Neuroreport. 14. 111-115 (2003)