2003 Fiscal Year Annual Research Report
Holliday構造DNAの分岐点移動反応の顕微鏡による直接観察
Project/Area Number |
02J20139
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
韓 龍雲 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所・生理活性物質研究部門, 特別研究員(PD)
|
Keywords | DNA相同組換え / Holliday構造DNA / RuvA-RuvB蛋白質 / モーター蛋白質 / 一分子イメージング |
Research Abstract |
DNAの転写、合成、分解、巻き戻し、組換えなどの機能を担う蛋白質の多くは、ヌクレオチドを加水分解したときに得られるエネルギーを使って、DNA分子に沿って動きながら機能する分子モーターである。これらのDNA分子モーターの動作原理は、これまでに多くの研究がなされている筋収縮、細胞運動、細胞内物質輸送などに関わる運動タンパク質分子モータとは異なると考えられる。さらに、相同遺伝子組換えでは、複数のDNAモーターが時間的、空間的に協調し機能をするなど、非常に興味深い。しかし、現在それらはほとんど明らかになっていない。そこで本研究では、1分子イメージング、1分子操作、1分子計測法技術を使い、DNA分子モーターの動きのメカニズムを明らかにすることを目的とする。 その中で私は相同組換えの中間体である十字型構造をしたHolliday構造DNAの分岐点移動を光学顕微鏡により直接検出することを試みている。Holliday構造DNAの分岐点移動にはRuvA-RuvB蛋白質複合体が関与している。RuvAがHolliday構造を認識する蛋白質でRuvBがモーター蛋白質である。これまでに観察に必要な十分な長さの十字型構造をしたHolliday構造DNAを作製した。このHolliday構造DNAは片側がスライドガラス基盤に固定できるように、そしてもう片側には磁気ビーズをつけることができるように細工をした。そして、今回作製したHolliday構造DNAをスライドガラス上に固定し、磁石でDNAを引っぱり上げた。そこにHolliday構造DNAの分岐点移動反応を行うRuvA、RuvB蛋白質を加え、RuvAB-Holliday構造複合体を形成させ、エネルギー源であるATPを加え、ビーズの回転を観察した。これまでにいくつかのビーズの回転運動を観察することができた。今後さらに多くの観察例を得ることにより、これまでの生化学的解析からでは測定が困難であった分岐点移動反応の速度や1分子のATPの加水分解にともなって移動するDNAの長さ、活性化エネルギーの測定を行い、RuvA-RuvB蛋白質複合体よるHolliday構造DNAの分岐点移動反心のメカニズムを明らかにしていきたい。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Takashi Hishida, Hiroshi Iwasaki, Yong-Woon Han, Takayuki Ohnishi, Hideo Shinagawa: "Uncoupling of the ATPase activity from the branch migration activity of RuvAB protein complexes containing both wild-type and ATPase-defective RuvB proteins"Genes to Cells. Vol.8. 721-730 (2003)