2004 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地域における干ばつ被害軽減のための蒸発散量調節に関する研究
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02J20148
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
松島 美智子 (早野 美智子) 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 沖縄支所・島嶼環境管理研究室, 日本学術振興会特別研究員
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Keywords | 蒸発散 / 乾燥地域 / 土壌温度 / 土壌深さ / マルチ |
Research Abstract |
本研究は、乾燥地域での緑化・農業振興と水資源保全のための節水栽培と高温・乾燥・高日射および塩害対策のための手法の提案を目的としている。そこで乾燥地域であるアラブ首長国連邦(UAE)南西部アルアインおよび北部ラスアルハイマでの農業を対象とし、コマツナ節水栽培のための試験を行なっている。 今年度はUAEでの現地試験の前にまずほぼ同緯度に位置する石垣で、土中埋設した塩化ビニール製の止水シートとポリエチレン(白)の土壌面マルチを用い、作物の水利用効率を高めることを試みた。深さ0.1m、0.2mおよび0.4mに止水シートを敷き、表面積1m^2になるように砂を充填した試験区を作成した。2004年8月から10月にかけての栽培試験において、コマツナは土壌深さが深いほど収穫時の乾物生産量が大きくなり、節水効果もまた高くかる傾向が見られたが一方で2004年11月から12月にかけてUAEで行なった栽培試験では土壌の深さが浅いほど乾物生産量は高くなるという、石垣とは逆の結果が得られた。 この理由として土壌の表層と深部での平均地温の季節変化が考えられる。すなわちそれは気温にあわせて表層地温は変化するが、深部の温度には時間遅れが位相差として現れる。このことは一般的には地温の日変化ばかりでなく、月変化についても同様に起こる。UAEと石垣はほぼ同緯度に位置するため、両者の日照時間はほぼ等しい。気温は7月から8月に最高値を、1月から2月に最低値を示すので、表層地温が気温とほぼ同じように変化するとき、0.5mより深部の地温はその変化におよそ1〜2ヶ月遅れた地温変化を示す。 石垣の試験が行なわれた8月から10月にかけては表層地温の平均値は深部地温に比べ比較的高く、またUAEで11月から12月にかけて測定された表層地温の平均値は深部地温に比べ比較的低かったことから、石垣では土壌の深さが深いほど試験区内部の地温は下がり、UAEでは土壌の深さが浅いほど試験区内部の地温が下がったと考えられる。
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