2004 Fiscal Year Annual Research Report
陸棚域における海産魚類幼稚魚の自然死亡に影響を与える要因に関する研究
Project/Area Number |
02J20156
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
小岡 孝治 独立行政法人水産総合研究センター, 亜寒帯海洋環境部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 海産魚類 / 自然死亡 / 陸棚 / スケトウダラ / 冬季減耗 / 栄養状態 / 飢餓 |
Research Abstract |
海産魚類幼稚魚の栄養状態が冬季減耗に対してどのように影響するのかを明らかにするために、スケトウダラ0歳魚を用いた飢餓実験を行った。調査海域である北海道東部太平洋の陸棚上はスケトウダラ太平洋系群の重要な生育場となっており、厳寒期(3-4月)における0歳魚の栄養状態および水温環境をシミュレートした飢餓実験を行った。冬季の体サイズである尾叉長10-15cmの0歳魚を4つの300リットル円形水槽にそれぞれ35個体ずつ入れた。水温は全ての水槽で0.5℃に設定した。栄養状態については、越冬前の高い栄養状態および3月上旬の低い栄養状態の2つの実験区を設けた。これらの実験区において0歳魚を2か月間絶食させる。本実験の結果、以下のことが明らかとなった。栄養状態は飢餓耐性に影響しており、高い栄養状態の実験区では19%の魚しか死亡してないのに対して、低い栄養段階の実験区では74%が死亡した。また、低い栄養状態の実験区において死亡した個体の72%が12.5cm以下であったことから、本研究においてもサイズ依存的死亡が確認された。また、体サイズおよび飢餓日数を変数とする累積死亡確率を重回帰分析により定式化することができた。今後は死亡個体の肥満度・魚体エネルギー量・脂質含有量を調べ、死亡に至る臨界的な条件を明らかにする予定である。 0歳魚の栄養状態の季節変化を調べるために、本年度も毎月の用船調査を行った。2004年級群の冬季における肥満度の減少は、2003年級群と比べ緩やかであった。過去の知見から肥満度が0.5以下の個体を栄養状態が極めて悪い個体と定義すると、3月時点でのそれらの割合は2003年級群では30%であったのに対し、2004年級群では2.6%に過ぎなかった。このことから、飢餓が直接的および間接的に影響を与える冬季の減耗には年変動があることが示唆された。
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