2004 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱化学物質が甲状腺機能とストレス応答に及ぼす影響の検証
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02J20179
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
川口 真以子 独立行政法人国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト, 特別研究員(PD)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / ラット / ストレス / 甲状腺ホルモン / 胎生期-授乳期 / ペンタクロロフェノール |
Research Abstract |
昨年度は、環境ホルモン戦略計画SPEED'98に記載された化学物質のうち、ペンタクロロフェノール(PCP)とフタル酸ブチルベンジル(BBP)がWistar系成熟雄性ラットの甲状腺機能とストレス調節系に影響を及ぼすことを示した。研究計画に則り、今年度は化学物質の次世代への影響について検討した。 Wistar系雌性ラットに妊娠を確認した日から離乳までの間、対照群には蒸留水を、曝露群には6.6mg/1の濃度でPCPを混入した蒸留水を自由摂取させ、母ラットと仔ラットの体重、飲水量、摂食量、仔ラットの出生数、出生性比、雌性仔ラットの膣開口日と性周期、母ラットと仔ラットの肝臓、副腎、性腺の湿重量、母ラットと仔ラットの肝臓中PCP濃度を測定した。また、一部の仔ラットについてはストレス応答への影響を検討する目的で拘束ストレス負荷を施し、これらラットの血漿中のホルモン、甲状腺ホルモンであるトリヨードサイロニン(TT3)濃度、サイロキシン(TT4)濃度、甲状腺ホルモン分泌を促進する甲状腺刺激ホルモン濃度およびストレス応答において中心的役割を担うコルチコステロン(CORT)濃度をラジオイムノアッセイにて測定した。その結果、PCP曝露群では母仔ともに肝臓中にPCPが検出され、母ラットと3週齢の仔ラットにおいて、PCP曝露群において対照群に対し有意にTT4濃度が減少したが、12週齢では有意差は消失した。また、ストレス応答や臓器重量などへの影響は示されなかった。従って、PCPの胎生期-授乳期曝露は一過性に甲状腺ホルモン機能をかく乱することが示された。
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Research Products
(1 results)