2003 Fiscal Year Annual Research Report
土壌生物群の分布のゆらぎが畑作物の生長に及ぼす影響
Project/Area Number |
02J20223
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
金田 哲 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター・畑地利用部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 不耕起畑 / 土壌動物 / 土壌微生物 / 作物生育 / 土壌理化学性 / 生物の分布 / 除草剤 / リビングマルチ |
Research Abstract |
本年度は、3つの研究から作物、土壌環境、生物の関係を把握した。研究は大きく2つに分けられ、1つは圃場調査において作物の生長、土壌環境、土壌生物相の関係を把握する研究で、もう1つは土壌生物に影響を及ぼすと考えられる農法、例えばリビングマルチや薬剤散布が土壌生物に与える影響を把握する研究である。 1つ目の研究では、不耕起圃場において作物の生長とその周囲の土壌環境、生物相の調査を行うことで作物の生育と最も相関の高い要因を抽出する調査である。この調査は2003年春に行った。2003年の結果では、雑草と土壌水分のそれぞれと、作物の生育との間に負の相関関係が認められた。2003年の春は雨が少なかったために作物と雑草との間に養水分の競合が起こったと考えた。 2つ目の研究では、除草剤が土壌生物に与える影響を不耕起圃場において調査した。除草は前年度秋と本年度春に行った。この結果秋に除草することにより、昆虫の幼虫の個体数が減少する結果が得られた。またミミズも同様に減少する傾向が認められた。昆虫の幼虫にはコメツキムシのように植物根を加害するものが含まれているため、除草剤を散布する時期を秋にすることにより、作物根の加害を低く抑える可能性が示唆された。 3つ目の研究では、リビングマルチが小型節足動物に与える影響を調査した。この研究からリビングマルチを行うことにより、小型節足動物が増加することが認められた。小型節足動物は土壌微生物と相互作用を通して物質循環を促進することが明らかにされていることから、リビングマルチを行うことにより物質循環が促進されると考えられた。 上記の研究の他に、除草剤及び殺虫剤がミミズの活動に与える影響とミミズの個体数密度調査を本年度秋から行い継続中である。これらの研究では、薬剤散布直後ではミミズの活動に影響がみられず、またミミズの個体数は冬に低下することが明らかとなっている。
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Research Products
(1 results)