2004 Fiscal Year Annual Research Report
食餌制限によるTh1/Th2バランスの制御とその癌ワクチン療法への応用
Project/Area Number |
02J61401
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松崎 順子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Th1 / Th2 / プロジェステロン |
Research Abstract |
今までの研究から、LPS投与によるエンドトキシンショックは食餌制限をしたマウスの方が食餌制限をしていないマウスよりもおこらないことがわかっており、これには食餌制限により上昇するグルココルチコイドが関与していると考えられる。グルココルチコイドは糖代謝に関与するホルモンであるが、免疫抑制作用があり,胸腺の委縮やT細胞のアポトーシスを促進することが知られている。このように内分泌系と免疫系は密接に関与しているが,今回,免疫細胞がステロイドホルモンの産生に関与しており,それを利用することで免疫バランスを調節することが明らかとなった。コレステロールからグルココルチコイドの代謝の中間産物であるプロジェステロンは、妊娠期間中に特に上昇することが知られている。また、妊娠期間中はTh1/Th2バランスがTh2型に傾くことから妊娠中に上昇するプロジェステロンがTh2分化に影響を及ぼしていると考えられているがそのメカニズムは未だ解明されていない。我々はTh1細胞とTh2細胞のmRNAの発現レベルを比較した時,Th2細胞ではTh1細胞に比べてステロイド代謝酵素であるP450sccと20α-HSDの発現レベルが高いことがわかった。この2つの酵素はプロジェステロンの代謝に関与する酵素であり,Th2細胞はストロマ細胞と共にプロジェステロンをコレステロールから産生することができ,さらに高濃度のプロジェステロンを加えた時にはプロジェステロンを代謝し,アポトーシスを回避することができることが示された。このことから、T細胞はステロイド代謝を利用することでTh1/Th2バランスをコントロールすることが示され,妊娠期間中にTh2型にバランスが傾くのには免疫細胞のステロイド代謝酵素の発現が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)