2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J61403
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横溝 智雅 筑波大学, 基礎医学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 造血幹細胞 / 転写因子 / GATA-2 / Runx1 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
造血幹細胞の発生機序および、それに関わる遺伝子を明らかにすることを目的として、種々の変異マウスの解析をおこなった。 1.GATA-2ノックアウトマウスの解析 GATA-2ノックアウトマウスでは各系列の血液細胞が大幅に減少しており、造血幹細胞での異常が示唆されているが、それがどのような異常なのかは明確ではない。そこで、初期血液細胞のマーカーであるCD45を指標にして胎生9.5日胚の血液発生を調べたところ、GATA-2ノックアウトマウスではCD45細胞が増加していることが明らかとなった。また、同様にF4/80陽性マクロファージも増加していた。これらの結果は、GATA-2を欠損した場合、未分化の状態で血液細胞をとどめておくことができず、マクロファージへの分化が進んだことを示しており、GATA-2が造血幹細胞の未分化性維持に重要な役割を果たしていることを示唆している。 2.Runx1レスキューマウスの解析 Runx1ノックアウトマウスは造血幹細胞を完全に欠損する。このマウスに、GATA-1プロモーターの制御下でRunx1を発現することのできるトランスジーンを導入したところ、部分的ではあるが血液をレスキューすることに成功した。レスキューされた血液の起源を詳細に解析した結果、胎生7.5日目のVE-cadherin陽性分画という従来考えられていた部分とは別のところから血液が生じていることが明らかになった。種々の実験より、この分画は正常マウスでも存在していることが示唆された。現在、この分画の血液の性質について解析を行っている。
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