2003 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の増殖、細胞死における新規ポリコーム群遺伝子MBLRの役割
Project/Area Number |
02J61405
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
勝本 拓夫 千葉大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリコーム群遺伝子 / NK細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
本年度は、引き続きMBLR欠損マウスを中心にMBLRの機能について解析を行った。MBLR欠損マウスの胸腺、脾臓での細胞数、細胞表面マーカーの発現、細胞増殖やT細胞の分化に異常は見られなかった。次いで脾臓CD4 T細胞の抗腫瘍活性の強いサイトカイン産生をELISA法で解析した。その結果、T細胞増殖に必須のインターロイキン2、インターフェロンガンマの産生が、MBLR欠損マウスにおいて低下していることがわかった。しかしながら、Th1/Th2細胞への分化は、MBLR欠損マウスと野生型マウスとの間に顕著な違いは見られなかった。さらに、T細胞受容体下流の細胞内シグナル伝達経路に関して、ウエスタンブロット法で、解析を行った結果、NFATの蛋白量、ERKのリン酸化に違いは見られなかった。さらに、Gel shift assayによるNFATのインターロイキン2プロモーターへの結合についても解析を行ったが、両者の間に違いは見られなかった。 次に、上記研究とは別に、NK細胞の分化とサイトカイン産生制御機構の解析を行った。始めにin vitro NK細胞分化系を構築し、それぞれをNK0/1/2細胞とした。各分化したNK細胞の細胞傷害活性は、NK1細胞で最も高く、NK2細胞で低かった。転写因子の発現をRT-PCR法で解析すると、GATA3の発現がNK2細胞で、他のNK細胞と比べて、2倍程度の発現の上昇が見られた。また、GATA3による遺伝子発現誘導を阻害するROGの発現が各NK細胞で高くなっていた。次いで、2型サイトカイン遺伝子領域のヒストンのアセチル化の状態をクロマチン免疫沈降法で解析したが、各NK細胞間で大きな違いは見られなかった。最後にNK2細胞分化とIL-4/13のシグナル伝達との関係を明らかにするために、Stat6欠損マウスでNK2細胞を分化させると、特徴的なサイトカイン産生が完全に阻害された。本研究結果は現在投稿中である。本研究は、支持細胞なしにNK細胞のin vitro分化系を初めて確立し、NK細胞分化の分子機構に迫ったもので、NK細胞の分化と機能の解明に大きく寄与するものである。
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