2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J61407
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 大祐 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Id / RA(関節リウマチ) / 血管内皮細胞 / 血管新生 / RNAi |
Research Abstract |
昨年度の研究結果によって得られた、Id遺伝子を血管内皮細胞に強制発現させることによって、血管内皮細胞の活性化、増殖能の亢進、血管新生様表現型の誘導が起こるという知見から、今年度はIdの発現抑制を行なうことによって、血管内皮の活性化および血管新生の誘導を阻害できるかという課題に取り組んだ。RNA高発現ベクターを用いて、Id1およびId3特異的なshRNAを強制発現させることによってId遺伝子の発現阻害を行なった。 あらかじめId発現阻害ベクターをトランスフェクションしたヒト臍帯状脈由来血管内皮細胞(HUVEC)に対して、VEGF処理をすることによって血管内皮細胞の活性化、血管新生の誘導、ならびにId遺伝子の発現誘導を行なっ。結果Id1/Id3遺伝子の発現は誘導されず、細胞増殖能もネガティブコントロールベクターで処理したものに比べ抑えられ、VEGF非刺激のものと同様の細胞増殖であった。αv、α2、β1インテグリン、ICAM-1、E-selectinといった活性化マーカーでもある接着分子の発現量も、未処理のものと同程度の発現であり、細胞遊走能、MMP2産生量、管空形成能といった血管新生表現型もVEGF刺激下においても誘導することができなかった。 以上のin vitroでの実験結果をvivoにおいて検証する目的でin vivoマトリゲルアッセイを行なった。あらかじめVEGF100ng/mlの濃度で調整したマトリゲルに、仙台ウイルスのエンベロープで覆ったId1/Id3 shRNA発現ベクター、ならびにmockベクターをそれぞれ加え、B6マウスの皮下に移植を行なった。移植10日後にマトリゲルを取り出し、顕微鏡下で観察したところ、Id1/Id3 shRNA発現ベクターを加えたマトリゲル内では有意に細胞の浸潤が抑えられ、血管の新生も抑えられていた。 以上の結果より、VEGF誘導性の血管新生においてId遺伝子は重要な働きをしており、Id遺伝子の発現を押さえることにより、血管新生の阻害が可能であることが示された。
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Research Products
(1 results)