2002 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子IRF-3とIRF-7によるウイルス性発癌に対する生体防御機構の解析
Project/Area Number |
02J61414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲矢 丈雄 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | IRF-3 / IRF-7 / IRF-9 / IFN-α / β / IFN誘導遺伝子 / ウイルス発がん / ウイルス感染 |
Research Abstract |
IRFファミリーは、細胞増殖や癌化の制御、IFNシグナルの伝達、IFN産生など幅広く生体防御作用を担う転写因子群である。申請者らはIRF-3→IFN-β→IFNAR→IRF-9→IRF-7→IFN-αのpositive feedback loopがIFN産生に重要な役割を担うことを明らかにした。さらに、申請者らは、IFN誘導遺伝子に、実はIFN→ISGF3の経路を介さなくてもウイルス感染に伴う、IRF-3の活性化によって直接誘導されるものがあること、IFN誘導遺伝子がウイルス感染による転写誘導時のIRF-3、IRF-7、IRF-9の使われ方の違いによってカテゴリー分類されることを見出した。最近、申請者らは作成したIRF-3欠損マウスを用いて、IRF-3欠損細胞は野生型細胞に比べウイルス感染に弱いことを明らかにしつつある。このこと、IRF-3はUV照射等のDNA損傷刺激でも活性化されること、そして、papilloma E6蛋白が、p53だけでなくIRF-3とも結合してその転写活性化能を阻害することから、IRF-3は、ウィルス感染に抵抗性を持たせる遺伝子群を誘導し、それらの遺伝子群がウイルスなど発癌刺激に抵抗性を持たせることが考えられる。これらに基づき、IRF-3で直接誘導される誘導遺伝子に着目し、それらの誘導メカニズムと機能について引き続き解析を行っている。また、一方、IRF-7は、IRF-3と構造が類似し、同様にウイルス感染を受けて活性化されIFN-α/β遺伝子の発現を誘導する因子である。ある種の癌細胞ではIRF-7が遺伝子プロモーターのメチル化により不活化されているがIRF-7の発ガン抵抗性における分子機構はよくわかっていない。申請者は、IRF-3と7とそれらの誘導遺伝子による、IFN産生などのウイルス排除機構、癌抑制因子としての役割に焦点を当ててそれらの機能解析を進めている。
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