2002 Fiscal Year Annual Research Report
カドヘリン-β-カテニン複合体に結合する新規蛋白質IRACの機能解析
Project/Area Number |
02J61419
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 教子 (那須 教子) 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RICS / RhoGAP / CaMKII / β-カテニン / PSD / Cdc42 / Rac1 |
Research Abstract |
接着分子カドヘリンは、シナプス可塑性に重要な役割を果たしていることが知られている。β-カテニンは、カドヘリン分子とアクチン骨格を繋ぐ分子で、カドヘリンによる細胞接着を調節し、シナプスの構造や機能を制御している。本実験では、β-カテニンと相互作用する新規GTPase-活性化蛋白質(GAP) RICS (IRAC改めRICS)を同定し、以下のことを明らかにした。 まず、RICSがGAPドメインを有することに着目してRBD assayを行い、RICSがCdc42とRac1に対するGAP活性を有することを見出した。マウス脳を分画したところ、RICSはpostsynaptic density (PSD)に局在し、PSD画分においてN-カドヘリン、NR2A/2B、PSD-95と複合体を形成していることが明らかになった。また、ラット海馬初代培養細胞を用いた細胞染色により、RICSの局在がNR2BおよびPSD-95と一致することを確認した。さらに、PSD画分におけるRICSのGAP活性はCa^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase II (CaMKII)によるリン酸化によって抑制されることを明らかにした。 これらの結果から、RICSはシナプス接着およびNMDA受容体を介した細胞骨格の再編成やシグナル伝達に関与していると推測される。最近、N-カドヘリンの局在がNMDA受容体を介する神経活動により制御されていることや、β-カテニンの局在が神経活動により樹状突起のshaftからspineへ変化し、カドヘリンとの結合量が増加することが報告されている(Tanaka, H.,2000,Neuron、Murase, S.M.,2002,Neuron)。これらの知見とあわせて考えると、RICSはβ-カテニン、N-カドヘリンとともにRho GTPasesを介して樹状突起のspineの形態や強度を制御しているのかもしれない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Toshio Okabe: "RICS, a novel GTPase-activating protein for Cdc42 and Racl, is involved in the beta-catenin-N-cadherin and N-methyl-D-aspartate receptor signaling"The Journal of Biological Chemistry. 278(11). 9920-9927 (2003)