2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤの間充織/筋肉の運命分岐に関わる転写調節機能の切り替えの機構
Project/Area Number |
02J61430
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 健司 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カタユウレイボヤ / 発生運命の決定・分岐 / 誘導 / 非対称分裂 / マイクロアレイ / 網羅的遺伝子発現解析 / in situ hybridization |
Research Abstract |
ホヤ胚発生過程の細胞系譜は詳細に記載されており、原腸陥入直前の110細胞期までにほぼ全ての割球の発生運命がオタマジャクシ幼生の単一の組織に限定される。また、運命の限定と前後して発生運命の決定(自律分化能の獲得)が起こる。本研究で対象としている、FGF9/16/20を介した誘導により運命決定がなされる脊索、脳、間充織の3つの組織は、誘導により引き起こされる非対称分裂の結果、それぞれのデフォルト(誘導を受けない場合)の運命である神経索、表皮、筋肉との分岐が起こる。この過程には多数の遺伝子発現を伴うと考えられるが、その多くは未知である。我々は、これらの運命決定・分岐に伴い発現する遺伝子を網羅的に明らかにすべく、カタユウレイボヤ全遺伝子の約80%をカバーするマイクロアレイ(オリゴチップ)を用いた遺伝子発現解析を行っている。 昨年度は、脊索/神経索の運命分岐における遺伝子発現の差異をマイクロアレイを用いて調べ、32細胞期から64細胞期にかけておこる脊索/神経索の運命分岐に伴い、64細胞期の脊索、神経索前駆細胞のそれぞれで発現している遺伝子の候補をそれぞれ107個、68個得ていた。今年度は、これらの候補遺伝子合計175個の卵割期〜原腸胚期にかけての時間的・空間的な発現パターンの詳細な記載をWISH法により行った。その結果、脊索前駆割球に発現の確認できた脊索遺伝子37個、神経索前駆割球の神経索遺伝子40個を同定することに成功した。また、これらの遺伝子を脊索/神経索の運命分岐の前後の発現パターンから4つのグループに分類することができた。現在、これらの成果を論文にまとめ投稿中である。また、脊索/神経索の運命分岐と同様に、脳/表皮、間充織/筋肉の運命分岐に伴い発現する遺伝子の解析を進めている。脳/表皮の運命分岐に関しては、すでにマイクロアレイを用いた解析を完了しており、脳の前駆割球に発現している候補遺伝子を72個、表皮の候補遺伝子を39個得ている。現在、これらの候補遺伝子の発現をWISHで確認している。
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