2002 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスCoreタンパク質による細胞性遺伝子発現制御機構の解析
Project/Area Number |
02J61434
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡士 幸一 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | C型肝炎ウイルスCoreタンパク質 / Sp110b / 転写コファクター / レチノイン酸受容体 |
Research Abstract |
本研究において・転写因子NF-κBの活性化に関与するC型肝炎ウイルスCoreタンパク質(Core)アミノ末端領域をベイトとして、この領域に結合する細胞性因子を酵母ツーハイブリッド法によりスクリーニングした。その結果、結合候補分子としてSp110bをクローニングした。Sp110bの分子機能はこれまで全く明らかになっていないので、CoreとSp110bとの相互作用およびSp110bの分子機能に関する解析を行い、現在までに以下の新知見を得ている。 1 CoreとSp110bとの相互作用 in vitroにおけるGST pull downアッセイ法あるいは培養細胞を用いた免疫沈降実験の結果、Sp110bはその中央領域を介してCoreと相互作用することが示唆された。 2 Sp110bの細胞内局在 培養細胞において内在性および外来的に発現させたSp110bは主に核に局在することが観察された。しかしながらCoreを発現させることにより、Sp110bは主に細胞質へと局在が変化すること、この局在の変化はCoreとSp110bとの相互作用を介していることが示唆された。 3 Sp110bの転写活性への効果 レポーターアッセイ法により、Sp110bはレチノイン酸受容体(RAR)を介する転写活性に抑制的に作用することが観察された。またin vitroにおけるGST pull downアッセイ法により、RARのリガンドの存在下でSp110bとRARは相互作用することが示された。これらのことよりSp110bはRARを介する転写を負に制御する転写コファクターである可能性が考えられた。 今後CoreとSp110bとの相互作用が、CoreによるNF-κBの活性化にどのような役割を果たすのかを検討する予定である。また、Sp110bによるRAR転写抑制の分子機構についてもさらに解析をすすめる。
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Research Products
(1 results)