2002 Fiscal Year Annual Research Report
パキシリンのチロシンリン酸化による細胞運動極性制御機構の解析
Project/Area Number |
02J61436
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坪内 朝子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | パキシリン / チロシンリン酸化 / 細胞運動 / 細胞極性 / 細胞骨格 / p120RasGAP / p190RhoGAP / Rho family GTPases |
Research Abstract |
1.細胞運動時における運動方向とMTOCの位置との関連の統計的解析 正常マウス乳腺上皮細胞にパキシリンの野生型、チロシンリン酸化変異型を発現させた細胞株を用いて、その運動の様子や、野生型及び変異型パキシリンの細胞内局在と微小管の配向やMTOCの位置との関連を解析した。その結果、パキシリンチロシンリン酸化部位(Y40及びY181)を変異させることで細胞のMTOCの位置が乱れるだけでなく、細胞の運動性(persistency)の異常が見られた。これらの結果から、パキシリンのチロシンリン酸化が微小管の構造や安定性、MTOCの位置決定に関与していると考え、パキシリンのチロシンリン酸化変異型を発現させた細胞において、細胞極性と深く関与が示唆されているRho family GTPasesの活性との関わりについての解析に着手した。Rho family GTPases活性の生化学的測定に加え、FRET(fluorescence resonance energy transfer)を用い、一細胞内における局所的な活性を測定、解析中である。 2.パキシリン主要リン酸化部位に結合する分子とパキシリンとの相互作用の解析 in vitro, in vivoにおける生化学的解析からパキシリンのリン酸化チロシン31/118とp120RasGAPのSH2ドメインが結合することを解明した。既にp120RasGAPとの結合が報告されているp190RhoGAPと競合的であること、この競合的結合が、運動している細胞の辺縁部分で起こっていることを見い出した。この局所的なパキシリンとp120RasGAPとの結合によりp190RhoGAPのRhoAに対するGAP活性が亢進され、細胞辺縁部分でのRhoAの活性が抑制されることにより、効率的なラッフル膜が形成されるという新しい概念を提唱できた。
|
Research Products
(1 results)