2003 Fiscal Year Annual Research Report
パキシリンのチロシンリン酸化による細胞運動極性制御機構の解析
Project/Area Number |
02J61436
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坪内 朝子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パキシリン / チロシンリン酸化 / 細胞運動 / 細胞極性 / RhoファミリーGTPases / Rac1 / Cdc42 / FRET |
Research Abstract |
細胞運動時におけるパキシリンのチロシンリン酸化と細胞極性の関連についての解析 正常マウス乳腺上皮細胞にパキシリンの野生型、チロシンリン酸化変異型を発現させた細胞株を用いた解析から、これまでに、パキシリンチロシンリン酸化部位(Y40及びY181)をフェニルアラニンに置換させた変異体を細胞に強制発現させると、細胞のMTOCの位置が乱れるだけでなく、細胞の運動性の異常が生じるという実験結果を得ている。これらの結果から、パキシリンのチロシンリン酸化が微小管の構造や安定性、MTOCの位置決定に関与していることが示唆された。そこで、パキシリンのチロシンリン酸化変異体を発現させた細胞において、細胞極性と深く関与が示唆されているRhoファミリーGTPasesの活性との関わりについて解析した。まず、RhoファミリーGTPases活性の生化学的測定を行ったが、顕著な差異が観察されなかった。 そこで、FRET(fluorescence resonance energy transfer)を用い、1細胞内における局所的な活性を測定した結果、パキシリンチロシンリン酸化部位(Y40及びY181)をフェニルアラニンに置換させた変異体を細胞に強制発現させると、野生型パキシリンを発現させた細胞と比較して、細胞極性と深く関与が示唆されているRhoファミリーGTPasesのCdc42や、ラフリング膜形成とその活性の関与が示唆されているRac1の活性が、運動する細胞の辺縁部分で異常に活性化されていることが観察された。 以上の結果から、パキシリンのリン酸化チロシン40/181とCdc42/Rac1の活性制御に何らかの関係があるのではないかと考え、パキシリンのリン酸化チロシン40/181に結合するタンパク質の同定を試みた。主に、抗パキシリン抗体を用いた免疫沈降実験、SDS-PAGE、ウエスタンブロットを行った。その後パキシリンのリン酸化チロシン40/181に結合する分子について、可能な抗体を用いて検出したり、マススペクトロメトリーによるアミノ酸配列決定を行ったが、細胞極性やラフリング膜形成に関与する分子は同定できなかった。
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