2002 Fiscal Year Annual Research Report
シナプスの形態及び機能に対する脳由来神経栄養因子の作用
Project/Area Number |
02J61438
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
惣谷 和広 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | BDNF / GFP / FM1-43 / シナプス可塑性 / 二光子レーザー走査型顕微鏡 |
Research Abstract |
発達脳における神経回路網形成の後期には、入力依存的な回路網の変化が生じるとされている。この現象の基礎にはシナプス伝達効率やシナプス部位の形態の変化があると考えられている。近年、このシナプス可塑性は、脳における記憶、学習また、脳の発達などの素過程と考えられている。 最近、大脳皮質視覚野のシナプスにおいて、脳由来神経栄養因子(BDNF)が入力の多いシナプスを強化し、少ないシナプスを弱化する分子の一つである可能性が示唆された。しかし、実際に生きている神経細胞系で、どのようにBDNFが入力活動に依存してシナプス部位の形態や機能の変化を生じさせているのかは、直接的には未だ証明されていない。そこで、本研究では、BDNFのシナプス可塑性の作用部位や作用部位の経時的な機能変化を直接的に二光子レーザー走査蛍光顕微鏡を用いて、シナプス部位における神経細胞の形態変化と入力活動との関係をオンラインで解析する。 まず、シナプス部位をオンラインで観察できる神経培養標本の作成を行った。 実際に測定を行う標本は、幼若GFPトランスジェニックマウスの大脳皮質視覚野と野生型C57/BL6マウスの大脳皮質視覚野から採取した神経細胞の共分散培養標本を用いる。この標本を用いることによってシナプス部位を形態的に直接同定できるようになった。 次にシナプス部位の機能変化を観察するために、FM1-43蛍光指示薬を使用したイメージング法をセットアップした。 この方法は、神経細胞の特に神経前シナプス終末部位の活動性を容易に観察できる方法として知られている。 これからは、この標本とイメージングシステムを用いることによって、シナプス反応の機能的な変化と入力依存的なシナプス前部および、後部の形態変化との関係、更には、BDNFの作用部位の同定と作用機序の関係を追求できる事が期待される。
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