2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接着機構Nectin-afadin系による細胞運動の制御機構
Project/Area Number |
02J61439
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲垣 舞子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞運動 / 細胞接着 / Nectin-Afadin系 / Nectin / Afadin / アクチン / ZO-1 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞は運動する際、その先導端でアクチン細胞骨格の再編成によりフィロポディアやラメリポディアを形成しながら運動し、細胞と細胞の先導端が相互に接触して細胞間結合が形成されると細胞運動が止まる。このように、細胞の運動と接着のそれぞれのシグナル伝達系には密接なクロストークが存在し、細胞間接着からのシグナルが細胞運動を制御していると考えられる。また、この制御機構の破綻が、がん細胞の浸潤や転移を引き起こすと考えられる。われわれは、新しい細胞間接着系Nectin-Afadin系とフィロポディアやラメリポディアの形成を引き起こす低分子量Gタンパク質Cdc42活性化因子Frabinを見出し、これらがそれぞれ細胞の接着と運動のシグナル伝達系に関与することを明らかにしている。 本年度の研究では、細胞の接着と運動のシグナル伝達系におけるNectin-Afadin系の機能を解析し、以下の成果を得た。 (1)Nectinの分子種の一つであるNectin-2について、細胞外ドメインにある3つのイムノグロブリンループのうち、2つめのイムノグロブリンループが、Nectin-2のシス二量体の形成およびトランス結合に必須であることを明らかにした。 (2)Nectinが、アクチン結合タンパク質ZO-1の局在に関与することを明らかにした。 (3)Nectinの分子種の一つであるNectin-1のノックアウトマウスを作製した。Nectin-1ノックアウトマウスは生存および繁殖可能であったが、眼球が小さく、体毛がカールしているという表現型を示した。 最近、Nectinのトランス結合は、Cdc42,Racなどの低分子量Gタンパク質を活性化することが示された。今後は、Nectin-1ノックアウトマウスを用いて、Nectin-1による低分子量Gタンパク質活性化の生理的機能および分子機構を明らかにする予定である。また、免疫組織染色および組織初代培養などの手法を用い、Nectin-1のノックアウトマウスの異常の原因を追求する予定である。これらの研究により、細胞の接着と運動のシグナル伝達系のクロストークの分子機構およびその生理的機能が明らかになると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Momose, Y et al.: "Role of the second immunoglobulin-like loop of nectin in cell-cell adhesion"Biochemical and Biophysical Research communications. 293. 45-49 (2002)
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[Publications] Inagaki, M et al.: "Nectin-Dependent Localization of ZO-1 at Puncta Adhaerentia Junctions Between the Mossy Fiber Terminals and the Dendrites of the Pyramidal Cells in the CA3 Area of Adult Mouse Hippocampus"The Journal of Comparative Neurology. 467(in press). (2003)