2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J61440
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森部 弘樹 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 線虫 / tetraspanin / TCP-15 / 表皮 / 水疱症 |
Research Abstract |
膜4回貫通タンパク質tetraspaninは20種類以上の分子ファミリーからなり、細胞の接着・遊走・癌転移・細胞膜融合など、細胞間相互作用におけるさまざまな生理現象に機能していることが示唆されている。一方でtetraspaninは分子的特徴に乏しく、また実際の生理的機能がほとんど不明であることから、特に遺伝学的手法により生体内での役割を明らかにしていくことが必要である。そこで遺伝学的解析に優れた特質を持つ線虫C. elegansにおいてRNA干渉法(RNAi)を用い、線虫に存在する20種類すべてのtetraspanin機能欠失個体を作製することを試みた。すべての線虫tetraspaninのcDNAを単離し、RNAiを試行した結果、tsp-15遺伝子のRNAi個体において表皮の異常を見いだした。この表皮異常は我々が新たに分離したtsp-15変異体と一致し、tsp-15遺伝子の導入によって補償されることからTSP-15の機能欠失によるものと判断された。tsp-15機能欠失個体の表皮異常はクチクラ層の剥離だけでなく下皮細胞の変性も伴う新しいタイプのものであり、これまでに知られている表皮異常の変異体とは一致しないことから、表皮の発生・維持において未知の分子機構が関与していることが示唆された。現在までのところTSP-15の機能を補償する哺乳類tetraspaninは同定されていないが、tsp-15変異体を用いた機能補償実験からTSP-15タンパク質の細胞内領域がその機能に必要である可能性が示された。GFP融合遺伝子法と免疫電子顕微鏡観察によってTSP-15の発現様式を解析した結果、TSP-15は下皮細胞において発現されており、特に基底膜側に局在することが示された。現在TSP-15の機能と表現型の関連について解析中である。
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