2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J61440
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森部 弘樹 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 線虫 / テトラスパニン / TSP-15 / 表皮 / 水疱症 |
Research Abstract |
膜4回貫通タンパク質テトラスパニンは、ヒトでは30種類以上の分子ファミリーを形成し、細胞の接着・遊走・癌転移・細胞膜融合など、細胞間相互作用におけるさまざまな生理現象に機能していることが示唆されている。線虫C.elegansを用いることによって、テトラスパニンの生理的役割を遺伝学的アプローチで明らかにする研究を開始したところ、線虫テトラスパニンのひとつであるtsp-15遺伝子の遺伝子機能低下(ハイポモルフ)個体において皮膚疾患である表皮水疱症に類似する表皮の剥離を見いだした。tsp-15機能低下個体の表皮異常はクチクラ層の剥離だけでなく下皮細胞の変性も伴う新しいタイプのものであり、またtsp-15変異体では表皮のバリア機構の維持に異常が生じていることが分かった。この維持機構の異常によって下皮細胞の変性が惹起され、結果、下皮細胞およびクチクラ層の機能と形態に影響を与えていると思われる。以上の結果より、テトラスパニンが表皮統合性に関与する分子であること、また線虫のテトラスパニンの機能を初めて明らかにした。また機能欠失解析と同時に全ての線虫テトラスパニンの発現様式を明らかにした。その結果、少なくとも数種類のテトラスパニンが表皮細胞において機能していることが示唆された。また最近tsp-15の新たな遺伝子変異座が複数単離され、これらは機能欠失(ヌル)変異体であることが示唆された。この変異体では全ての個体においてハイポモルフ変異体よりも早い時期に致死となることから、tsp-15は成体の表皮における機能だけでなく、個体の正常な発生に必須の因子であることが明らかとなった。 一方で、tsp-15ハイポモルフ変異体の表皮異常を抑制する変異体の探索を開始したところ、9系統の抑制変異体を得た。その変異遺伝子座の連鎖解析とマッピングを行ったところ、そのうちのひとつは第3染色体の中央にマップされた。これまでのゲノム情報との比較から、この変異の責任遺伝子はtsp-15の遺伝的上流に位置する新規遺伝子と思われる。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Tetraspanin protein (TSP-15) is required for epidermal integrity in2004
Author(s)
Moribe, H., Yochem, J., Yamada, H., Tabuse, Y., Fujimoto, T., Mekada
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Journal Title
Journal of Cell Science 117・22
Pages: 5209-5220