2003 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージによるアポトーシス細胞の認識及び貪食の分子機構
Project/Area Number |
02J61442
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
華山 力成 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | マクロファージ / アポトーシス / インテグリン / ホスファチジルセリン / MFG-E8 / Del-1 |
Research Abstract |
私たちは、マクロファージによるアポトーシス細胞の貪食過程を定量化する実験系を樹立し、マクロファージとアポトーシス細胞を結びつけ貪食を誘導する分子を同定した。この分子は、MFG-E8(Milk Fat Globular Protein EGF-8)と呼ばれる因子で、活性化されたマクロファージによって分泌される糖タンパク質であった。このたんぱく質は、アポトーシス細胞上に露出されるリン脂質ホスファチジルセリンと特異的に結合することにより、アポトーシス細胞のみと結合した。次いで、本来アポトーシス細胞を貪食しないマウスの繊維芽細胞にMFG-E8を加えたところこの細胞はアポトーシス細胞を効率良く貪食した。これらの結果により、MFG-E8がアポトーシス細胞と食細胞をリンクする因子であることを示した。しかしながら、マクロファージの中には、MFG-E8を発現しなくとも効率よくアポトーシス細胞を貪食するものも存在する。そこで、これらのマクロファージにおいて、MFG-E8にドメイン構造が非常によく似た相同因子Del-1が発現していることを示した。Del-1は血管新生関連因子として同定された蛋白質であるが、MFG-E8とアミノ酸配列において約50%の相同性を有している。Del-1は、MFG-E8と同様に、ホスファチジルセリンを介してアポトーシス細胞に特異的に結合し、インテグリン発現細胞と結びつける働きがある事を示した。しかしながら、各種マクロファージによけるMFG-E8とDel-1の発現を検討したところ、マクロファージは、どちらか一方のみを発現し、その機能や局在により使い分けている可能性があることを示した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hanayama R: "Identification of a factor that links apoptotic cells to phagocytes"Nature. 417. 182-187 (2002)
-
[Publications] Hanayama R: "Expression of Developmental Endothelial Locus-1 in a subset of Macrophages for Engulfment of apoptotic cells."The Journal of Immunology. (in press). (2004)
-
[Publications] 華山 力成: "実験医学11月号「リン脂質によるタンパク質活性制御」"羊土社. 5 (2002)