2002 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン依存性の転写調節因子の同定とその生体における糖代謝への関与の検討
Project/Area Number |
02J61444
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
勅使川原 匡 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン / 転写調節因子 / 糖代謝 / 脂質代謝 / Gene Chip / 肝 / 糖新生 |
Research Abstract |
肝における新規なインスリン依存性転写調節因子を同定するために、随時摂食時・絶食時・絶食後再摂食時のマウスの肝からtotal RNAを抽出し、Gene Chip(AffymetrixMu74ABC)にて遺伝子発現の変化を解析した。また、ストレプトゾトシン誘導性糖尿病マウスヘのインスリン投与前後の肝についても同様な解析を行った。さらに、ラット初代培養系肝細胞にインスリン、グルコース、及びインスリン拮抗ホルモンであるデキサメサゾンやグルカゴンのセカンドメッセンジャーであるcAMPなどを処理し、遺伝子発現の変化をreal time RT-PCR、ノザンブロット、ウェスタンブロットなどの分子生物学的手法にて解析した。 これらの結果、Gene Chipにて解析した約36,000遺伝子の中からマウス個体の肝とラット初代培養系肝細胞の双方において、インスリン誘導性のbasic helix-loop-helix型転写調節因子やLeucine zipper型転写調節因子、グルコース誘導性、またはインスリン拮抗ホルモン誘導性(インスリン抑制性)のC2-H2 zinc finger型転写調節因子などを新規に5種以上同定した。これら新規転写調節因子の発現は、すべてインスリン誘導性、あるいは抑制性の糖・脂質代謝関連酵素の発現に先行しており、肝での糖・脂質代謝機能を転写レベルで調節している可能性が考えられる。 現在、これら転写調節因子の野生型や優位抑制型のcDNA、及びsiRNAをコードするアデノウイルスベクターを作成し、in vitro系やin vivo系での肝特異的な過剰発現・機能阻害実験による糖・脂質代謝への影響を検討している。特にインスリン拮抗ホルモン誘導性(インスリン抑制性)のC2-H2 zinc finger型転写調節因子は、初代培養系肝細胞や株化肝細胞に過剰発現させることでホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼやグルコース-6-ホスファターゼなどの糖新生系律速酵素の遺伝子発現を誘導するという結果を得ており、肝における糖新生機能を調節している可能性が示唆されている。
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Research Products
(1 results)