2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入免疫担当細胞を用いた新たな腫瘍免疫遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
02J61449
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
金子 新 愛媛大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝子治療 / 細胞傷害性T細胞 / 樹状細胞 / レトロウイルスベクター / 造血幹細胞 / 骨髄移植 |
Research Abstract |
リンパ球の抗腫瘍効果を期待して行われる細胞療法では、細胞障害を直接になうCD8陽性細胞障害性T細胞のみならず、樹状細胞(DC))による抗原提示が重要であると知られている。我々はウイルスベクターによる遺伝子導入法を用いてその過程を修飾し、より効果の高い遺伝子細胞免疫療法の開発を行っている。 樹状細胞は強力な抗原提示能を持つことが知られるが、終末分化した細胞であるため、レトロウイルスベクターによる遺伝子導入に抵抗性である。今回我々はSCF、FL、TPO、IL-6存在下でEGFP遺伝子を導入したヒトCD34細胞を引き続きSCF、GM-CSF、TNF-αの存在下に培養することでEGFP発現細胞の40%程度をCD1a陽性DCとすることを可能とした。また、腫瘍関連抗原であるWT-1、TERTを効率よく血球細胞へ形質導入できるレトロウイルスベクター(GCsapWT-1、GCsapTERT)を作製した。現在、HLA-24陽性CD34陽性細胞から、WT-1陽性CD1aDCとTERT陽性CD1aDCを誘導し、当教室で作製されたHLA-A24拘束性WT-1ペプチド特異的CTLであるTAK-1およびNIM-1と共培養し、誘導DCが導入遺伝子をペプチドとしてMHC拘束性に提示することを検討中である。 一方、遺伝子導入抗原提示細胞が生体内でも効率よく抗原提示をすることが可能であれば、持続的な抗腫瘍効果が期待できる。我々は遺伝子導入造血幹細胞に由来する抗原提示細胞が生体内でどのように分布し、遺伝子発現しているかを解析するため、EGFP遺伝子をレトロウイルスベクターで導入した50個のマウス造血幹細胞を、同系マウスに骨髄移植した。各臓器での遺伝子導入細胞分布を検討したところ、移植後6ケ月を経過したマウス中でもEGFP陽性細胞は肺(7.6%)肝(3.1%)腸粘膜(1.9%)などに確認され、多くはMac-3抗原を持つ抗原提示細胞である組織マクロファージであった。
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