2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J61462
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
小林 俊輔 玉川大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 前頭前野 / 作業記憶 / 報酬 |
Research Abstract |
本研究は報酬、罰が認知機能に及ぼす影響を生理学的に調べることを目的として行われている。そのために記憶誘導性眼球運動課題を以下の3つの条件で行うことの訓練がニホンザルを用いて昨年度までに終了している。すなわち、1つの条件では課題成功後にjuiceの報酬が与えられる(appetitive condition)。1つの条件では課題を失敗するとair-puffによる罰が与えられる(aversive condition)。1つの条件では課題を成功しても失敗しても報酬も罰もない(neutral condition)。 今年度は、2頭のニホンザルの外側前頭前野および1頭のニホンザルの前頭前野眼窩面から単一神経活動記録を行った。その結果、二頭いずれの個体においても外側前頭前野にはneutral condition, aversive conditionと比較してappetitive conditionで選択的に活動が変化する神経活動がみられた。よって、外側前頭前野は、報酬に関係する情報処理を行っていることが結論された。一方、罰回避のための情報処理に関係する脳部位の候補として前頭前野眼窩面の神経活動記録を現在行っている。62個の前頭前野眼窩面の神経細胞の活動のうち約30%に罰回避に関連する神経活動がみられることから、前頭前野眼窩面が罰回避のための情報処理にかかわっている可能性が高い。 今後は、2頭目の個体で前頭前野眼窩面の記録を行いデータの整合性を確認し、より詳細なデータ解析を行う予定である。また、このような報酬期待や罰回避にかかわる指標としてニホンザルの心電図や行動指標を解析して、神経活動との相関を調べる予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 小泉昌司, 小林俊輔, 則武厚, 坂上雅道, 彦坂興秀: "行動決定に及ぼす前頭前野へのmuscimol局所注入効果"玉川大学学術研究所紀要. 9. 13 (2003)