2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトとチンパンジーの塩基配列比較によるヒトを特徴づける遺伝子の研究
Project/Area Number |
02J61463
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
北野 誉 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒト / チンパンジー / 遺伝子 / 系統関係 / 非同義置換 / ゲノム |
Research Abstract |
ヒトと他の近縁な類人猿との遺伝子の差異を発見するための予備的な解析として、DNAデータベースから、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの4配列が登録されている103の遺伝子を検索して比較を行った。これらの遺伝子を用いて、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの系統関係を分析したところ、34遺伝子はヒトチンパンジーのクラスターを支持し、10遺伝子はチンパンジーゴリラのクラスターを支持し、14遺伝子はヒト-ゴリラのクラスターを支持した。この結果は、以前のより少数の遺伝子からの結果を支持するものであった。また、それぞれの遺伝子について、塩基の同義置換と非同義置換の比較を、ヒトの枝で起こったものとそれ以外の枝で起こったものとに分けて行った。まず、Fisher's Exact testからは、BRCA1, CCR5, DAF, FOXP2がヒトとそれ以外の枝でパターンが有意に異なった。次に、それぞれの遺伝子について、非同義置換サイトあたりの非同義置換数(dN)をヒトとそれ以外の枝で比較したところ、ヒトのdNとそれ以外のdNとでは有意に相関があった。またTGIF2LXとPRM1がその相関から逸脱しており、つまりヒトとそれ以外の枝でパターンが有意に異なることが示された。 また、Chimpanzee Chromosome 22 Sequencing Consortiumに参加し、BACクローンの配列決定を行った。一方、チンパンジーとゴリラのHOXAクラスターやRh blood group genesのゲノム配列解析も進行中である。
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