2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトとチンパンジーの塩基配列比較によるヒトを特徴づける遺伝子の研究
Project/Area Number |
02J61463
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
北野 誉 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒト / チンパンジー / 遺伝子 / 進化 / ゲノム |
Research Abstract |
ヒトと他の近縁な類人猿との遺伝子の差異を発見するため、DNAデータベースから、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの4配列が登録されている85の遺伝子および、我々が配列決定した18の遺伝子を用いて、比較解析を行なった。その結果、34遺伝子はヒト-チンパンジーのクラスターを支持し、10遺伝子はチンパンジー-ゴリラのクラスターを支持し、14遺伝子はヒト-ゴリラのクラスターを支持した。これは、以前のより少数の遺伝子からの結果を支持するものであった。また、それぞれの遺伝子について、塩基の同義置換と非同義置換の比較を、ヒトの系統で起こったものとそれ以外の系統で起こったものとに分けて行った。その結果、BRCA1やRNASE3などの遺伝子において、ヒトと類人猿の系統で進化パターンが有意に異なることが示された。以上の研究は、Molecular Biology and Evolution(in press)に発表した。また、体軸形成に関わるHOXAクラスター領域について、チンパンジーとゴリラの相同領域およそ200kbを、BACクローンおよびfosmidクローンを用いて、ショットガンシーケンス法によって、配列決定を行ない、そのゲノム比較解析を行なった。その結果、このクラスター全体にわたって、GまたはCからAまたはTへの塩基置換(GC→AT)がヒトとチンパンジーの系統とで有意に違うことが示された。また、ヒトとマウスのゲノム比較により、遺伝子間領域における保存された領域を多数確認した。さらに、それらの保存された領域で、ヒト特異的なシス調節エレメントをいくつか予測した。さらに、非常に特徴的な進化パターンを有するRh式血液型遺伝子のヒト-チンパンジー-ゴリラを用いたゲノム配列解析も進行中である。
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[Publications] Kitano T, Schwarz C, Nickel B, Paabo S: "Gene diversity patterns at 10 X-Chromosomal loci in humans and chimpanzees."Molecular Biology and Evolution. 20(8). 1281-1289 (2003)
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[Publications] Kitano T, Liu YH, Ueda S, Saitou N: "Human specific amino acid changes found in 103 protein coding genes."Molecular Biology and Evolution. in press. (2004)
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[Publications] Shimada MK, Kim CG, Kitano T, Ferrell RE, Kohara Y, Saitou N: "Nucleotide sequence comparison of a chromosome rearrangement on the human chromosome 12 and corresponding ape chromosomes"Cytogenetics and Genome Research. in press. (2004)
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[Publications] 北野 誉, 斎藤成也: "生体の科学「特集」分子進化学の現在「類人猿とヒトのゲノム進化研究」"医学書院(in press). (2004)
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[Publications] 北野 誉, 斎藤成也: "バイオ研究者のためのデータベース利用術「DDBJのホームページを用いた配列解析」"学進出版(in press). (2004)