2002 Fiscal Year Annual Research Report
自然言語による行動制御のための言語行為の理解過程の分析
Project/Area Number |
02J72902
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三好 潤一郎 千葉大学, 文学部, 日本学術振興会特別研究員(PD)
|
Keywords | 言語行為 / 行為 / 基礎行為 / 発語内行為 / 発語行為 / 発語媒介行為 / 制度的事実 / 「によって」関係 |
Research Abstract |
1 平成14年10月から、基礎行為論および行為の存在論に関して研究を行った。まずダントーの基礎行為論を再検討し「によって」関係の処理の問題を考察した。「によって」関係を遡って基礎行為に至るというその立場では、一方では基礎行為自体が複雑で分析を要するものであり得る。他方では意志することが行為ではないかという問題が残る。故にそれは行為論の十分な枠組みにはなり得ないと考える。次に行為論におけるデイヴィドリン的な立場とゴールドマン的な立場を比較した。前者は理論的には明確だが、行為に関する常識的な見方に反する。後者は常識にはそれ程反しないが、行為の理論として煩雑である。両者とも制度的事実としての行為を適切に取り扱えないという問題も判明した。 2 学術創成研究「言語理解と行動制御」平成14年度合同研究会(11月29・30日東京大学)に参加した。その際、研究の成果を「基礎行為と動作」という題目で発表した。第3回「情報倫理の構築」国際ワークショップ(FINE2001)(12月17・18日かずさアカデミアパーク)に参加した。 3 平成15年1月からは、行為の存在論の言語行為への応用に関して研究を行った。行為の存在論を言語行為に応用するにあたって問題となるのは発語内行為の処理である。発語行為と発語内行為とは「において」関係で結ばれるが、その関係は行為論上で十分に規定するのが難しい。また発語媒介行為も発語行為または発語内行為と「によって」関係で結ばれるが、その関係が単なる因果関係ではないため従来の行為論では不十分である。さらに発語内行為は制度的事実をなすが、それを記述する理論的な道具立ても必要である。ただし、いろいろな言語行為の関係を明確化するのには有用である。 4 Sapporo Workshop On Language, Action and Cognition(2月24日北海道大学)に参加した。学術創成研究「言語理解と行動制御」平成14年度成果発表会(3月11日東京工業大学)に参加した。
|