2002 Fiscal Year Annual Research Report
レンズ再生をモデルとした、組織再生の制御カスケードの研究
Project/Area Number |
02J83903
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 利憲 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | イモリ / レンズ / 組織再生 / 両生類 / FGF / 転写調節因子 / 虹彩 |
Research Abstract |
脊椎動物の中で際立って強い再生能力を持つイモリのレンズ再生をモデルとして、組織再生の基本的な制御カスケードを解明する目的で研究を行なった。 イモリの眼からレンズを取り除くと、虹彩背側領域の色素上皮細胞がメラニン顆粒を放出しながら増殖して透明な胞状構造をつくり、約2週間後には胞状構造からレンズを形成する。虹彩の腹側領域では色素上皮細胞が一時色素を失うものの、レンズを再生することはない。 レンズ再生がどのような因子によって開始されるのかを明らかにするために、イモリの虹彩背側、腹側それぞれの色素上皮細胞を培養条件下に移し、様々な成長因子とともに培養した結果、虹彩の背側と腹側に見られるレンズ再生能の違いを維持したレンズ再生は、培地にFGF2あるいはFGF4を加えることによって再現できることを明らかにした。 さらに、FGF2あるいはFGF4が生体内の再生過程で機能しているかを知るために、FGF2/4タンパク質の発現レベルを解析した結果、レンズ再生中のイモリ虹彩ではFGF2タンパク質の量が正常な虹彩よりも増加していることを明らかにした。 現在は、fgf2とfgf4のmRNA発現レベルがどのように変化するのかを知るために、2つのイモリ遺伝子のクローニングを終え、発現パターンの解析を進めている。 前述の研究に加えて、レンズ発生を制御すると考えられる遺伝子の発現がレンズ再生ではどのような時空間的パターンを示すのかを知るために、レンズ再生中のイモリ眼球におけるpax6,prox1,mafBおよびsox1/2/3の発現をin situ hybridization法を用いて明らかにしつつある。
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