2004 Fiscal Year Annual Research Report
古典イスラーム神学・法学史-テキストデータの分析を中心に-
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02J84001
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
青柳 かおる 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | イスラーム / 思想 / ガザーリー / ラーズィー / スーフィズム / 神学 / 哲学 / 法学 |
Research Abstract |
イスラーム・スンナ派の神学派のアシュアリー派神学者であり、シャーフィイー派法学者でもあるガザーリー(1111年没)の思想を、神学・哲学・神秘主義のみならず、法学の側面からも検討し、広い視野からガザーリーをイスラーム思想史に位置付け、さらにガザーリー後のアシュアリー派神学者ラーズィー(1209年没)と比較しようと試みている。 まず、ガザーリーの思想における多様性とそれらの融合について分析した。ガザーリーの代表的な著作、『宗教諸学の再興』においては、神学や法学などの諸学問を神秘主義的に解釈し、幅広い議論が展開されている。この著作の中から、第一巻第二章「結婚作法の書」を選び、翻訳・分析した。その成果として2003年、『現代に生きるイスラームの婚姻論-ガザーリーの「婚姻作法の書」訳注・解説』を出版したので、2004年度は、ガザーリーの婚姻論をスーフィズム(神秘主義)の視点から検討し、ガザーリーの婚姻の利点と欠点、婚姻の契約条件、夫婦の義務や役割などについての議論が、スーフィズムの大衆化に貢献したことを明らかにした。それについては二つの論文「ガザーリーの婚姻論-スーフィズムの視点から」、"Al-Ghazali and Marriage from the Viewpoint of Sufism"にまとめた。 また、ガザーリーとラーズィーの思想、とくに宇宙論(存在論)における神学、哲学、神秘主義などの融合の様相についての比較に関する研究も進め、2005年、『イスラームの世界観-ガザーリーとラーズィー』を出版した。以上の研究のために、日本国内ではイスラーム思想に関連する一次資料のアラビア語文献および二次文献が十分には揃っていないため、ロンドンの大英図書館で、ガザーリー、ラーズィーの著作、研究を中心に文献を収集、閲覧した。
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Research Products
(3 results)