2003 Fiscal Year Annual Research Report
シングルイオン注入法を用いた不純物原子の個数・位置制御によるナノ物性制御
Project/Area Number |
02J84201
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
品田 賢宏 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | シングルイオン注入法 / 半導体 / ナノ物性制御 / 不純物位置制御 / 触媒位置制御 / カーボンナノチューブ / 集束イオンビーム法 / 液体金属イオン源 |
Research Abstract |
本研究では,シングルイオン注入法によるナノ物性制御とその応用を探索するために,次の3つの計画を掲げている.H15年度の取り組みは以下の通りである. Plan-1)不純物原子を個数と位置を制御して注入することにより,特性ゆらぎのない高性能半導体デバイスを開発する. Plan-2)母体結晶に対して正あるいは負に帯電する元素,触媒作用のある元素,磁性を有する元素を注入することにより局所的改質部位の2次元配列を形成する. Plan-3)スピンをもつ原子あるいは分子を改質部位に吸着もしくは埋め込むことにより,伝導キャリアとスピンの相互作用に起因する電気的特性を適用した新しい半導体デバイスを開発する. (1)不純物原子の個数・位置制御された半導体デバイスの電気的特性評価(Plan-1) 不純物原子の個数,位置が制御された半導体デバイスのしきい値電圧が,ランダム配置と比較してゆらぎが小さく,約2倍閾値電圧が小さいことが判明したことを受けて,ホール効果測定法によって移動度の温度依存性を求めた.これまでのところ,室温では顕著な違いは認められなかったが,液体窒素温度において,規則配置の方が少なくとも約3倍高い移動度を観測した. (2)カーボンナノチューブ(CNT)選択成長に必要な触媒金属濃度の評価(Plan-2) Niイオン注入部位にCNTが成長することに初めて成功したことを受けて,ナノチューブ成長に必要な触媒金属の注入量を評価した.注入量が10^<12>cm^<-2>台ではナノチューブの成長は観測されず10^<13>cm^<-2>台で初めて成長を確認した.CNT成長にはある一定の触媒金属の存在が必要であることが今回明らかとなった. (3)化合物半導体中にNi原子の2次元配列(Plan-3) 新しいナノ構造スピンデバイスを開発するために,高移動度逆HEMT構造中に磁性元素の1つであるNiイオンを個数と位置を制御して100nm間隔で注入した.現時点では,顕著な巨大磁気抵抗効果は得られていないが,アニール条件,注入量および注入間隔の最適化を行い,磁気抵抗効果の観測を目指す.
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Research Products
(1 results)