2002 Fiscal Year Annual Research Report
赤外キャビティリングダウン分光法による気相生体高分子の水素結合構造の研究
Project/Area Number |
02J99999
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 剛昭 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助手
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Keywords | キャビティリングダウン / 生体高分子 / 赤外分光 / 水素結合 / 吸収スペクトル / ピロール / NH伸縮振動 / 高次倍音 |
Research Abstract |
本年度(平成14年10月〜15年3月)は、キャビティリングダウン分光法(以下CRSと呼ぶ)の方法論確立に重点を置いて研究を遂行した。研究実績の概要は以下の通りである。 (1)CRSガスセル装置の製作 CRSガスセル装置は、ガスセル本体(SUS304製)、高反射率凹面鏡(R=99.995%@760nm、φ=20mm)、排気系(ロータリーポンプ)、の三つから成る。セルの両端には、あおり・回転方向の調整機能が付いたミラーホルダーが付属されており、これに凹面鏡を装着する。この凹面鏡は、レーザーパルスをトラップするキャビティ、セルのウィンドウ、の2つの役割を担っている。 (2)O_2b^1Σ_g-X^3Σ_g遷移吸収を用いた検出系の最適化 検出系は光電子増倍管(PMT)とデジタルオシロスコープ(DO)から成る。パルスレーザー(~760nm)をセルの一端から入射し、もう一端から透過する光をPMTで検出する。PMTからの信号をDOで敗り込み、リングダウン波形(一次のexponential関数)を得た。波形の時定数を1パルス毎に測定する方法として、DO内蔵のΔt@level演算機能を採用した。通常の関数フィッティングによる時定数算出と同じ結果が得られるようにΔt@level演算機能の最適化を行い、精度良く時定数算出、及びスペクトル測定が行えることを確認した。 (3)PyrroleのNH伸縮振動4倍音の観測生体 高分子の振動分光のテスト実験として、アミノ酸構成分子として有名なpyrroleのNH伸縮振動4倍音の観測を行った。常温のpyrrole気体(5Torr)をセルに封入し、そこにYAG励起Ti:Sapphireレーザー(745〜760nm)を照射することにより吸収スペクトルを測定した。752nmが吸収極大、半値全幅が3nmであるバンドが観測された。ピーク位置での吸収係数は2x10^<-6>(cm^<-1>)と見積もられた。
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