1991 Fiscal Year Annual Research Report
アルタイ・天山地域における遊牧の歴史の歴史民族学的研究
Project/Area Number |
03041096
|
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
松原 正毅 国立民族学博物館, 第一研究部, 教授 (30110084)
|
Keywords | アルタイ山脈 / 歴史民族学的な調査研究 / カザフ族 / モンゴル族 / 遊牧生活 / トゥバ族 / 諸民族の交流 / 新疆 |
Research Abstract |
平成3年度においては、アルタイ山脈を中心に遊牧についての歴史民族学的な調査研究をおこなった。調査隊を民族班(松原、楊ー現地参加)と歴史班(浜田、堀、林、庄司)にわけてそれぞれ調査活動を遂行したが、一部の期間は合同で調査にあたった。 民族班では、アルタイ山脈の夏営地に滞在するカザフ族とモンゴル族について、住みこみ調査をともなう歴史民族学的な調査をおこなっている。その結果、さまざまな新しい知見を獲得することができた。とくに、情報の空白地帯となっていたこの地域の遊牧生活について、詳細な資料を入手している。これらの資料により、さまざまな社会的変動にともなう影響をうけながらも、数100kmにわたる移動をふくんだ遊牧生活が活発におこなわれていることが明確になった。またカザフ族の集団内には現地語でククモンチョクトよばれるトゥバ族の集団の混住していることが確認された。この事実はアルタイ地域の諸民族の交流を歴史的に考察するうえで、貴重な資料となるであろう。 新疆のモンゴル族の現状についても、これまでひじょうに乏しい情報しかなかった。今回の調査によって、トゥルグ-ト、ジュンガル、チャハル、ウリアンハイなどモンゴル諸族の生活について正確な情報をうることができた。 歴史班は、主としてアルタイ山脈を中心とした歴史的な遺物、遺跡、文書などの調査にあたった。そのなかには、今回の調査であらたに発見された遺跡もふくまれている。 アルタイ地域を主要な対象とした遊牧についての歴史民族学的研究は、今後継続することによって、さらに資料を蓄積し、この分野におけるあらたな地平を切りひらく研究へと展開してゆくであろう。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 松原 正毅: "「馬乳酒の文化史」" 『国立民族学博物館研究報告』.
-
[Publications] 松原 正毅: "「遊牧の起源」" 『国立民族学博物館研究報告別冊』.
-
[Publications] 濱田 正美: "「聖者の墓を見つける話」" 『国立民族学博物館研究報告別冊』.
-
[Publications] 林 俊雄: "「新彊北部遺跡めぐり」" 『ユ-ラシア文化センタ-通信』. 4. 11-15 (1991)
-
[Publications] 林 俊雄: "「北方ユ-ラシアの円墳」" 『平井尚志先生古稀記念論攷』. (1992)
-
[Publications] 堀 直: "「カシュガル旧城居住街区の点描」" 『甲南大学総合研究所報告』.
-
[Publications] 庄司 博史: "「中国における青海土族と土族語研究」" 『民博通信』.