1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03203208
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 志美雄 山形大学, 工学部, 教授 (60007185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村形 忠弘 山形大学, 工学部, 助手 (90200261)
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Keywords | 石炭液化 / 酸化分解 / 有機電解反応 / メディエ-タ- |
Research Abstract |
従来提案されている石炭転換プロセスは,いずれも反応温度,圧力が高く,相当に厳しい条件下で行われるため省エネルギ-の観点から再考の余地がある。これに対して有機電気化学的反応を利用した石炭転換プロセスは常温ー常圧下で石炭分解が可能で,省エネルギ-型プロセスとして注目される。本研究では石炭ー水スラリ-の酸化分解に注目して,この種のプロセス開発に関する基礎的知見を得ることを目的とした。 石炭を常温ー常圧下で溶解する溶剤は現在見出されていない。このため石炭を直接基質としては電解できず,他の適当な成分(活性種)を介する間接電解に依らざるを得ない。活性種としては,(A)反応系内のある成分,あるいは(B)別に添加した成分(メデイエ-タ)がその役目をする二つの場合がある。(A)の場合:酸性スラリ-では電解生成物はCO_2等のガス成分であるが,これは石炭表面上に堆積した一次生成物の有機カルボン酸類が更に酸化分解されるためと考えられた。アルカリ性スラリ-では,生成物は有機カルボン酸類で,これは1次生成物が直ちに電解媒体に溶解するためである。また,石炭転化率は電極の種類に依存し酸素過電圧の低い電極程高いことが分った。このことは,活性種は電解媒体の水から成成し,その成成効率が石炭分解速度に影響することを示している。(B)の場合:効率的なメディエ-タを探索する目的で,各種酸化剤を用いた石炭の酸化分解実験を行った。その結果,酸化剤の活性は石炭化度に大きく依存するが,比較的低い酸化還元電位を有するものでも有効なことが分った。また,水の電解を伴わずに効果的に石炭の酸化分解を行える酸化剤の酸化還元の範囲を明らかにした。以上の知見から,酸性ナラリ-ではMn^<2+>,アルカリ性リラリ-ではFe(CN)_6^<4->がメディエ-タとして有効で,実際,(A)の場合と異なる水の分解による酸素の発生を殆ど起こさずに石炭分解を行えた。
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