1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03251233
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
彦坂 和雄 東京都神経科学総合研究所, 医学心理学研究部門, 主事研究員 (60129004)
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Keywords | 図ー地干渉作用 / 形態視 / 上側頭溝下壁細胞 / 下部側頭葉細胞 / マカクザル |
Research Abstract |
笑気麻酔・不動化した日本ザルを用い、視覚形態情報の検出に関するTEO野に対応する上側頭溝皮質から神経細胞活動を記録し、視覚形態情報と背景刺激を同時に与え、2種類の刺激の相互作用について検討した。視覚パタ-ン刺激として8種類の刺激(+、■、▲、●、タワシ、手、サルの顔、星形)を用い、背景刺激としてストライプとドットパタ-ンを用い、次の4条件における視覚応答性を検討した。(1)背景刺激がない状態で、パタ-ン刺激を運動刺激として与え、反応性を検討する。(2)パタ-ン刺激がない状態で、背景刺激を運動刺激として与え、反応性を検討する。(3)背景刺激を静止させ、最適パタ-ン刺激を運動刺激として与え、反応性を検討する。(4)最適パタ-ン刺激を静止させ、背景刺激を単独に運動刺激として与え、反応性を検討する。 現在までに、138個の上側頭溝下壁細胞を記録した。下壁細胞は、8種のパタ-ン刺激に対して1種の刺激にしか反応しないパタ-ン選択性の高い細胞から、8種のパタ-ン刺激に同等に反応するパタ-ン選択性の低い細胞までさまざまであった。パタ-ン刺激と背景刺激との相互作用を検討すると、大きく2つのタイプに分類できた。第1のタイプは、条件1と条件3における反応が同等な細胞(BIータイプ)であり、第2のタイプは、条件1では反応が得られるにもかかわらず条件3における反応が消失してしまう細胞(BI+タイプ)であった。これらの2種類の細胞は、それぞれ、視覚パタ-ン検出機能として異なる役割を果たしていると考えられた。BIータイプ細胞は背景刺激の有無に関わらず、視覚パタ-ンを検出できる性質を持つことから、ノイズの中から視覚パタ-ンを検出する機能に役立ち、BI+タイプ細胞は背景刺激が存在すると視覚パタ-ンを検出できない性質を持つことから、パタ-ンの細部を分析する機能に役立つと考えられた。
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