1991 Fiscal Year Annual Research Report
ヒヨドリバナ有性型・無性型における寄主植物・病原菌・植食昆虫の相互作用
Project/Area Number |
03269204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢原 徹一 東京大学, 教養学部, 助教授 (90158048)
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Keywords | 有性生殖 / 無性生殖 / 病原菌 / ヒヨドリバナ / TLCV / 倍数性 |
Research Abstract |
有性生殖は生物界に広くみられる性質だが、その進化的意義はよくわかっていない。さまざまな理論が検討された結果,今日では病原体と対抗進化するうえでの利点が最も有力視されている。本研究はこの仮説を検証することを主要な目的として行なわれた。 ヒヨドリバナには有性型と無性型があり,有性型は2倍体,無性型は倍数体である。両者の適応度を比較する場合,倍数性のレベルのちがいについても考慮する必要がある。 本研究ではヒヨドリバナ有性型・無性型の適応度成分を野外集団および実験集団を用いて比較した。実験集団を用いた研究から,無性型は巾広い光・栄養条件の下で有性型よりも大きな純生産速度を持つことが示された。この事実は倍数性のレベルの高さが無性型の適応度を高めていることを示唆する。野外集団では無性型は有性型に比べ約8倍の種子を生産していることが明らかになった。この大きな差は純生産速度のちがい、および無性型の開花成熟サイズが有性型よりも大きいというちがいに由来すると考えられる。これらの結果は,有性型・無性型の進化には倍数性であることの利点・欠点が大きな役割を果していることを示唆する。 一方、有性型はジェミニウィルスに対する感染率が平均4%であったのに対し、無性型は平均27%の個体が感染・発病していた。感染・発病した個体では種子稔性が有意に低下しており、病原体が無性型の適応度を下げる要因として作用していることが確認された。 本研究は無性型が有性型に比べ病原体の攻撃をうけやすいことを野外集団で示した植物でははじめての研究例である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] YAHARA,T.,M.ITO,K.WATANABE,D.J.CRAWFORD: "Very low genetic heterozygosities in sexual and agamospermous populations of Eupatorium altissimum(Asteraceal)" Amer.J.Bot.78. 706-710 (1991)
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[Publications] YAHARA,T.: "Graphical analysis of mating sytem evolution in plants" Evolution. 46. (1992)