Research Abstract |
これまでにCo-A12元系B2/(Co)2相合金で圧縮塑性歪2〜3%,Co-A1-Ni3元系B2/L1_2(Ni_3A1)2相合金で10%以上の延性改善を行った。B2/L1_2相合金では延性と高温強度を同時に改善できる可能性があり,Co-A1-Ni-Ti4元系内でL1_2 Ni_3A1とCo_3Tiの連続固溶体を利用すると,Co高濃度側までB2/L_2多相領域が拡大でき,広い組成範囲での組織制御が可能であると考えた。本年度は,Tiを2.5および5.0at%添加したCo-A1-Ni-Ti4元系B2/L1_2多相合金の組織形態と機械的性質の関係を調べた。 Ti添加量2.5,5.0at%の合金をアーク炉により溶製し,1373K,4h+1173K,24hの均質化熱処理を施した。組織および平衡相を調べるため光学顕微鏡観察,X線回折,示差熱分析を行い,機械的性質を調べるために,硬さ試験,室温から1273Kの温度範囲で圧縮試験を行った。その結果,2.5,5.0at%Ti両合金ともに組織はB2/(Co,Ni)2相,B2/L1_22相,B2/(Co,Ni)/L1_23相と思われる3つのタイプに大別できた。ほぼB2単相のB2/(Co,Ni)2相合金を除く全ての合金で4〜10%の圧縮塑性歪が得られ,L1_22相を含む合金では特に良好な室温延性が達成できた。全ての合金が室温で1000MPa以上の高強度を示し,0.2%変形応力(降伏強度)の温度依存性には,支配的である構成相の特徴が反映されることがわかった。例えば,B2相を多く含む合金では600から800Kの温度域で温度上昇に伴う強度低下が抑制されるB2型特有の温度依存性を示し,また,L1_2相を多量に含む合金ではL1_2相に起因する強度の正の温度依存性の発現によって600から800Kの温度域が最大強度を示した。Ti添加量が強度に与える影響はB2/L1_2相合金で顕著に現れ,Ti添加量を増加させると1073Kまでの温度域で200MPa程度の強度上昇が認められた。すなわち,Co-A1-Ni3元系からCo-A1-Ni-Ti4元系に拡張することでB2/L1_2多相領域がCo高濃度側に拡大でき,良好な延性,高強度を実現できた。
|