1992 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造が純粋で重合度分布のないオリゴマーの合成・単離とその構造化学的研究
Project/Area Number |
03453118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畑田 耕一 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60029402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右手 浩一 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (30176713)
北山 辰樹 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (60135671)
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Keywords | メタクリル酸メチル / クロラール / らせん / 立体規則性 / リビング重合 / 超臨界流体クロマトグラフィー / NMR / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
1.超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)の分離条件を最適化することにより,立体特異性リビング重合で合成した平均重合度67のイソタクチックポリメタクリル酸メチル(PMMA)から,100量体(分子量10,070)までのオリゴマーをそれぞれ純粋に単離することができた。重合度分布を持たず,重合度が50を超えるオリゴマーとしては,直鎖アルカンとオリゴオキシエチレンに次いで3番目の例になる。平均重合度41のシンジオタクチックPMMAからは,50量体までをそれぞれ数十ミリグラム単位で単離できた。 2.1.で得られた50量体までのオリゴマーの溶液中からの結晶化を試みたが,単結晶を得るには至らなかった。立体異性体の精製や結晶化の条件等について,次年度も検討を続けたい。一方,イソタクチック体,シンジオタクチック体の各重合度のオリゴマーを固相で熱処理することにより,明暸なガラス転移を示す非晶質の試料を得ることができた。示差熱分析の結果,これら重合度分布を持たない試料のガラス転移温度は,重合度分布を有するPMMAのそれより最大7℃程度高かった。 3.t-BuOLiを開始剤としてクロラールのオリゴメリ化反応を行い,末端を無水酢酸でエンドキャップしてイソタクチックオリゴマーを得た。このオリゴマーは,不斉炭素の絶対配置が全てRの異性体と全てSの異性体の等量混合物である。セルロース誘導体を固定相とする高速液体クロマトグラフィーにより,2〜9量体をそれぞれ光学分割することができた。5量体の純粋な(+)体と(-)体のCDスペクトルは,両者が対掌的ならせん構造を有することを示唆したが,旋光度の絶対値は24°(クロロホルム中,Na-D線)程度であり,不斉重合で得られたポリクロラールフィルムの値(1000°以上)に比べて小さかった。X線結晶解析の結果,(-)体がR体であることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Koichi Ute: "Stereoregular Oligomers of Methyl Methacrylate.V.X-ray Single Crystal Analysis of Isotactic Pentamer and Syndiotactic Tetramer" Journal of Macromolecular Science Pure Applied Chemistry. A29. 599-607 (1992)
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[Publications] Koichi Ute: "Stereoregular Oligomers of Methyl Methacrylate.6.Isolation of Isotactic and Syndiotactic MMA Oligomers from 19-mer to 29-mer by Preparative Supercritical fluid Chromatography and Their Thermal Analysis" Polymer Bulletin. 28. 561-568 (1992)