1991 Fiscal Year Annual Research Report
エステル交換油脂の利用による食餌脂肪のコレステロ-ル代謝調節機能の再評価
Project/Area Number |
03453134
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菅野 道廣 九州大学, 農学部, 教授 (70038181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 郁男 九州大学, 農学部, 助手 (40136544)
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Keywords | ラウリン酸 / ミリスチン酸 / パルミチン酸 / ステアリン酸 / コレステロ-ル代謝 / ハムスタ- |
Research Abstract |
ステアリン酸を除く飽和脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸)は血清コレステロ-ル(Chol)濃度を上昇させるといわれているが、個々の飽和脂肪酸の影響についてはまだ多くの未解決の問題が残されている。そこで本研究では、この点を明確にするためにハムスタ-を用いてChol代謝に及ぼす影響を調べた。飽和脂肪酸源としてラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸を用いて、飽和脂肪酸:モノ不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の比が5:3:2で、飽和脂肪酸の組成だけが異なるエステル交換油脂を4種調製した。これらを8%含むChol 0.2%添加(Chol(+))あるいは無添加(Chol(-))の純化食を6週齢のシリアンハムスタ-に4週間摂食させた。Chol(-)でステアリン酸は他の脂肪酸と比較して、血清Chol濃度は低値を与え、かつ肝臓CholはChol添加の有無にかかわらず低下させた。パルミチン酸はChol(-)時でのみラウリン酸やミリスチン酸と比較して肝臓のChol濃度を低下させた。糞中への胆汁酸の排泄量はChol添加の影響を受けなかったが、Chol添加による中性ステロ-ル排泄量の増加は、とくにステアリン酸で顕著であった。同時に、脂肪の消化吸収率の低下はステアリン酸でもっとも著しかった。In vivoでの放射性低密度リポタンパク質の異化速度率はChol(+)時でステアリン酸で最大であったが、Chol(-)時では群間で差異は認められなかった。以上のことより、食餌ステアリン酸は体内でのCholプ-ル増加を抑制する作用が強く、これにはCholの異化亢進と吸収抑制の両機構が関与していると判断された。またChol無添加時では、パルミチン酸はラウリン酸やミリスチン酸ほど体内Cholプ-ル増加作用が大きくないことが示唆された。これをらの結果は、個々の飽和脂肪酸がそれぞれ特徴的なChol代謝調節機能を有することを示している。
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