1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米森 敬三 京都大学, 農学部, 助教授 (10111949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尾 龍太郎 京都大学, 農学部, 助手 (10211997)
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Keywords | 果実肥大 / 糖代謝 / 果実の呼吸活性 / 果実のシンク力 |
Research Abstract |
本研究では,カキ‘平核無'果実においてヘタ片除去によって引き起こされる果実生長の抑制をモデル実験系とし,果実肥大を担う要因を明確にすることを目的として以下のような調査を行った。 1.ヘタ片除去によって,果実内の糖組成及びその蓄積過程がどのように変化するかを調査した。その結果,ヘタ片を除去した果実では処理後ブドウ糖と果糖が増加せず,ショ糖含量が増える傾向を示した。カキ果実では,同化産物の主たる転流形態はショ糖であると考えられており,同化産物のunloading siteである果実内でショ糖が高い含量のままで分解されずに残っていることで,それ以上の転流が阻害されている可能性があり,この糖代謝の変化が果実肥大抑制の一因となると思われた。 2.ヘタ片除去による果実の代謝活性の変化の目安として,果実の呼吸活性をヘタ片除去後の果実について樹上で経時的に測定した。その結果,ヘタ片除去後10日以降にCO_2交換速度が急減し,ゼロ近くの状態にまで低下した。この現象は,ヘタ片除去によって果実内のあらゆる代謝活動が低下していることを顕著に示していた。 3.果実内の生理活性物質のうち,とくにジベレリンとABAに着目し,ヘタ片除去によってこの両者がどのような影響を受けるかを調査した。ジベレリンとABAともヘタ片除去果実では,処理後その活性が顕著に低下し,さきの呼吸活性の激減との関係で興味深い結果を得た。 4.安定同位元素である ^<13>Cを用い,予備的な実験系でヘタ片除去果実と無処理果実のシンク力の強さを比較した。その結果,ヘタ片除去果実では同化産物の転流が無処理果実より少なく,果実自体のシンク力が低下している可能性が示唆され,さきの呼吸活性の低下との関連でこの点をより詳細に検討する必要があると思われた。
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Research Products
(1 results)