1992 Fiscal Year Annual Research Report
輪島・鳳至地域における複層林施業(アテ択伐林業)に関する研究
Project/Area Number |
03454076
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Research Institution | SHIMANE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北尾 邦伸 島根大学, 農学部, 教授 (50026390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 泰秀 島根大学, 農学部, 助手 (60228062)
稲田 充男 島根大学, 農学部, 助手 (50142328)
新村 義昭 島根大学, 農学部, 助教授 (80206333)
片桐 成夫 島根大学, 農学部, 教授 (00032649)
井口 隆史 島根大学, 農学部, 教授 (70032604)
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Keywords | アテ / 択伐林業 / 伏条更新 / 複層林 / 光環境 / 林分構造 / 森林経営 / 地場需要 |
Research Abstract |
輪島・鳳至地域の現地において複層林の森林を対象にして種々の計測を行った。林分構造、光環境、土壌の化学性、表土土砂の移動量などが主なその内容である。また、現地の森林経営、林業熱心な集落(細屋・洲衛)、森林組合、アテ材流通諸機関を対象にして種々の観点から実態調査を実施した。 また、1991年9月に襲来した台風19号によって、当地域の森林は未曽有の被害を被った(「激甚災害」に指定)。複層林施業、とりわけアテ択伐林施業は、高齢・高蓄積の林分を維持することを目的・前提として成立するのであり、何年かに1度の台風も組み込んでの施業が要請される。よって、台風被害は格好の研究素材が発生したことになり、この調査・分析にも取り組んだ。 さらに、固定試験地の林分構造に関する過去20年間のデータの解析に努め、理論モデルを導出した。 1.被層林の直径分布および樹高分布は各齢階ごとのそれぞれの分布が結合したものと仮定して、頻度分布モデルとして混合対数正規分布g(w)を誘導し、計測データをあてはめた。結果はよく適合した。 2.よく施業されたアテ択伐林分では直径や樹高の度数分布は布J字型を示す。施業がよくない光環境のもとでは、上層木のみが成長して択伐林型が崩れる。これら林分構造・成長・光環境の関係を定量的に明らかにした。 3.暴風害の被害形態は幹折れ、根返りが多く、直径・樹高の全てのクラスに及んだ。折損被害は形状比が60-80のものに多く、冠雪害の場合よりも小で、折損高は2-3m、折損比高0.1-0.3と冠雪害に比較して低かった。 4.アテに関わる従来の経営構造、地域林業構造、流通・消費構造の激変・変容過程を実証的に明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 稲田 充男: "直径および樹高の頻度分布モデルとしての対数正規分布" 森林計画学会誌. 19. (1992)
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[Publications] 稲田 充男: "混合マルコフ過程を応用した択伐林直径分布モデル" 島根大学農学部研究報告. 26. 9-13 (1993)
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[Publications] 稲田 充男: "能登地方アテ丸太材の未口径とm^3あたり価格の関係曲線の検討" 島根大学農学部研究報告. 26. 15-19 (1993)
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[Publications] 片桐 成夫・金子 信博・長山 泰秀: "石川県能登地方のアテ択伐林の暴風被害について" 島根大学山陰地域研究. 9. 43-49 (1993)
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[Publications] 北尾 邦伸: "輪島地域のアテ林業の現状について" 林業経済研究. 123. (1993)