1992 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子zif/268の神経細胞における遺伝子発現の調節機構とその産物の機構
Project/Area Number |
03454127
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
SAFFEN DAVID 東京大学, 医学部(医), 講師 (50231329)
|
Keywords | zif268 / PC12D / 神経成長因子 / チロシンキナーゼ / カルシウム / ターゲット遺伝子 / 海馬スライス / アンチセンス |
Research Abstract |
1)PC12D細胞においてzif268のmRNAが発現誘導される経路をいくつかの点で明らかにした。神経成長因子(NGF)による誘導は、チロシンキナーゼの阻害剤であるK252a(100nM)およびスタウロスポリン(10nM)によって抑制された。この結果より、zif268のmRNAは高親和性NGF受容体(p140-TKR)のチロシンキナーゼの活性化により誘導されることが示唆された。他方、ムスカリン性アセチルコリン受容体のアゴニストによるzif268 mRNAの発現誘導は、細胞外カルシウムのキレート、およびコバルトによるカルシウム流入のブロックによって抑制された。しかし、ニフェジピンによっては発現が抑制されなかったことから、このときL-タイプの電位依存性カルシウムチャネルではないカルシウムチャネルの関与が示唆された。 2)転写因子zif268の制御する遺伝子を単離するために、zif268のDNA結合領域を含む融合タンパクを大腸菌で発現させた。この融合タンパクはアフィニティークロマトグラフィーによって精製できるように、六個のヒスチジン残基やグルタチオン-S-トランスフェラーゼなどの配列を用いた。しかし最も有用な発現系は、昨年構築したマルトース結合タンパクとzif268との発現ベクターだった。これは大腸菌での産生量は少ないが、zif268の認識するDNA配列をもつオリゴマーとのゲルシフト分析によって結合の特異性と強度の面ですぐれていることがわかった。そこで、この融合タンパクを用いてzif268のターゲット遺伝子の単離を行っている。 3)海馬のニューロンにおけるzif268の発現を調べるために、海馬スライスの長期培養を開始した。現在はzif268遺伝子の発現に必要な諸条件を決定するために培養条件を分析している。 4)zif268のアンチセンス発現ベクターを構築した。これを用いて、PC12とPC12Dが神経細胞様に分化する際、zif268遺伝子の発現が果たす役割を調べている。
|
Research Products
(1 results)