1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454191
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 感染病理部, 部長 (50012779)
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Keywords | フィロウイルス / サル / エボラ出血 |
Research Abstract |
1989年フィリピンから米国へ輸入された非人類霊長類(NHP)(カニクイザル)が検疫中に大量に死亡し、解剖材料よりエボラウイルスに抗原性、形態が酷似したフィロウイルスが分離された。このウイルスは、ヒトに感染性はあるが、今まで病気を起こしてはいない。またNHPに全く触れたことのないヒトにも、約2.4%に交差反応があることが分かっている。今回は、カニクイザルにエボラウイルス2株(ザイールZ、スーダンS)とサルフィロレストン株Rを接種し、その発症病理を検討した。Z株を4頭、S株を3頭、R株を3頭のそれぞれの腹腔にウイルス液を接種し、moribund状態で屠殺し、全臓器を10%緩衝ホルマリン液で固定した。Z株サルは、感染7-10日で全て屠殺した。一部臓器はホルマリン固定後電子顕微鏡でウイルス粒子の検索を行なった。肝ではびまん性に、あるいは巣状に肝細胞およびクッパー細胞の空胞変性を伴う腫大、好酸性変性、時に壊死が著明であった。脾ではマクロファージの変性、壊死が目立った。リンパ節では、髄質部の巣状壊死がみられた。腎では尿細管上皮の変性と間質の変性壊死、肺の巣状出血、さらに精上体の間質部の広汎な壊死と炎症性細胞浸潤がみられた。脳には著変はみられなかった。それらの変性細胞に一致しエボラ関連ウイルス抗原が免疫組織学的に検出された。ウイルス粒子は肝、脾等でみられた。感染の程度はZ株に次いでR>Sの順であった。
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