1991 Fiscal Year Annual Research Report
老年痴呆脳と正常老化脳の老人性変化の免疫組織化学的研究、ー画像処理システムを用いた定量的解析
Project/Area Number |
03454240
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
葛原 茂樹 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (70111383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢谷 隆一 三学大学, 医学部, 教授 (80024636)
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Keywords | 脳の老化 / 痴呆 / アルツハイマ-神経原線維変化 / 老人斑 / タウ蛋白 / β蛋白 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
研究初年度である本年度は、まず必要な脳材料の集積とその標本作製に重点をおいた。これについては東京都老人医療センタ-の連続剖検例を中心に、200例を越える老人脳を集めることができた。一方、若年群については、三重大学医学部病理学教室の剖検例を対象にその集積に努力しているが、脳の解剖例数が少ないこともあり、まだ症例数が少ない。これらについて、現在はタウ蛋白、β蛋白に対する抗体を用いて免疫組織化学的染色標本を作製中である。なお、作製した標本について、特異的に染色されたアルツハイマ-神経原線維変化と老人斑を、オリンパス画像処理装置を用いてどのように定量的に計測できるかを、染色条件も含め検討している。 このような準備を行いつつ、顕微鏡学的観察によって予備的な研究を進めている。現在までの知見では、アルツハイマ-神経原線維変化は、正常老化脳においても海馬、海馬傍回という発生学的に古い脳部分には出現してくるが、発生学的に新しい新皮質にはほとんど出現しない。一方、老年痴呆脳では新皮質にまで出現している症例が多い。老人斑については、痴呆の有無に関係なく出現しており、現在の所、加齢や痴呆の有無との間に明確な因果関係を見出し得ていない。この点は、画像解析装置を用いて定量的に検討する必要があると考えられる。 このような老化脳の研究と併行して、パ-キンソン病、グアム島のパ-キンソニズムー痴呆症候群など、痴呆を呈する他の大脳変性疾患についても、同様の方法により検討してみる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 葛原 茂樹: "アルツハイマ-型痴呆ーアルツハイマ-病と老年痴呆ー" 循環. 12. 2-9 (1991)
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[Publications] 葛原 茂樹: "加齢によるボケは家族集積性があるか" 綜合臨床. 40. 2002-2005 (1991)
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[Publications] Kuzuhara S,Ihara Y,Shimada H,Toyokura Y: "Basic,Clinical and Therapeutic Aspects of Alzheimer's Disease.vol.1 ed by Nagatsu et al" Plenum Press, (1990)
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[Publications] Kuzuhara S,Ihara Y,Shimada,H,Toyokura,Y: "International Congress Series 946,Frontiers of Alzheimer's Research.ed by Ishii T,Allsop D,Selkoe DJ" Excerpta Medica, 301 (1991)