1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 純一 大阪大学, 医学部, 講師 (30144463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 義二 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
滝原 圭子 大阪大学, 医学部, 助手
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Keywords | 心筋症 / 肥大型心筋症 / ミオシン重鎖 / 点変異 / DNA / プレアルブミン |
Research Abstract |
本邦における家族集積性を示す肥大型心筋症(家族性肥大型心筋症:FHC)患者を中心に、心筋ミオシン重鎖遺伝子の構造を解析した。サザンブロット法による検討では異常は検出されず、大きな欠失や融合遺伝子のような構造変化は認められなかった。 次に、44名のHC患者(含22家系29名)を対象に、既にFHCにおいて原因遺伝子として報告されているいくつかのβ型ミオシン重鎖遺伝子異常「β型ミオシン重鎖遺伝子の点変異」を標的として解析したが、既報の異常は検出されなかった。Seidmanらは25のFHC家系を調べ、約半数の12家系のHC患者に14番染色体上のβ型ミオシン重鎖遺伝子の異常を確認し、点変異としては5つのエクソンにおける合計7種類を報告して、アミノ酸置換による電荷の変化と生命予後との関連性を示唆した。これらの変異のうちには異なる家系で同一のものも確認されており、変異部位はミオシン重鎖遺伝子の頭部、および頭部と尾部の接合部に集中してはいるが、必ずしも全て同一のアミノ酸置換ではない。一方、イタリアのFHC家系では16番、北米の家系では2番の染色体上に原因遺伝子の存在する可能性が報告されている。本邦におけるFHCでは心尖部肥大型の頻度が高く、日本人と白人とでは異なるFHCの祖先に由来していて、原因遺伝子を既報の点変異およびエクソン以外に、さらにはミオシン重鎖遺伝子以外に求めるべきかも知れない。 最近、点変異を効率よく検出するために、PCR法により増幅した各エクソンを用い、SSCP(一本鎖DNA構造多型)法、およびミスマッチハイブリッドDNAの電気泳動における易動度が異なる現象を応用し、増幅したDNA断片中の点変異の有無の検出を試みている。さらにこれらの方法を用い、β型ミオシン重鎖遺伝子の点変異が報告されている以外の他のエクソンについても解析を開始した。 一方、日本人FHC家系における連鎖解析により、その原因遺伝子が第18番染色体のプレアルブミン遺伝子と連鎖していることが示唆されている。本症では複数の遺伝子異常による病因が混在している可能性も考えられるため、これまでに収集した患者のDNAについてもプレアルブミンをプローブとして連鎖解析を行う予定である。
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